2021 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞腫のチロシンキナーゼ阻害剤耐性化における多様性の解析と個別化治療の構築
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19H03131
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
盆子原 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50343611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 崇 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50723897)
田崎 弘之 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (80231405)
呰上 大吾 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80453934)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥満細胞腫 / 犬 / チロシンキナーゼ阻害剤 / トセラニブ / 耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、TK阻害剤未治療の犬の肥満細胞腫より同定した新規KIT変異ならびにこれまで報告された犬の肥満細胞腫のKIT変異で性状解析が行われていない変異に注目して、KITリン酸化に及ぼす影響とチロシンキナーゼ阻害剤トセラニブの影響を検討した。解析の対象とした変異は33種類で、HEK293細胞を用いてこれらの変異を有する組換えKIT蛋白を作製し、リン酸化の状態を評価した。その結果、21種類の変異でKITの恒常的なリン酸化が認められ、10種類では統計学的有意差はなかったもののリン酸化が亢進する傾向がみられた。また、2種類の変異についてはKITのリン酸化に影響しないことが示された。このように、必ずしもKITに見られる全ての変異が機能獲得性の変異ではなく、KITの機能的変化に与える影響は変異により異なることが示された。KITに恒常的リン酸化を引き起こした変異21種類については、組換えKIT蛋白を用いて、リン酸化におよぼすトセラニブの影響を検討した。21種類の変異KITの内、15種類はトセラニブによりリン酸化の抑制がみられた。一方、6種類ではリン酸化の抑制は認められず、トセラニブ抵抗性の変異であることが示された。この6種類の変異の同定は、トセラニブ未治療の犬の肥満細胞腫の腫瘍組織において、予めトセラニブ耐性クローンが存在していることを示しており、2019/2020年度の仮説を強く支持するものであった。このように、犬の肥満細胞腫ではドライバーとなっている変異KITが常にトセラニブの治療標的とはならず、一部の症例ではトセラニブが不適応となることを示唆している。これらを考慮すると、治療の個別化、とくにTK阻害剤耐性素因の有無を考慮した個別化治療の確立には、多様な変異KIT蛋白の特徴付けと、次世代シーケンス解析など高精度で広範な遺伝子解析を用いた検査が重要と考えられた。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)