2021 Fiscal Year Annual Research Report
ノンコーディングRNA獲得による霊長類脳エピゲノム成立機構の実験的解明
Project/Area Number |
19H03138
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今村 拓也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (90390682)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ノンコーディングRNA / エピゲノム / 霊長類 / 脳 / 動物種差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,種を超えて保存されていない配列の獲得が,種特異的ノンコーディングRNA(ncRNA)産生/エピジェネティック変換を介して,遺伝子発現スイッチの獲得に至ると考え,マウスとヒトの脳神経幹細胞における種特異的プロモーターncRNA(pancRNA)を有する遺伝子を網羅的にデータベース化し,機能的意義を明らかにしてきている。ヒトとマウスでは大脳皮質の機能や形態が大きく異なり,例えば,種差形成には代謝リプログラミング経路の適応が伴っていることが想定される。本年度はまず、前年度までにヒト特異的pancRNA駆動型遺伝子として同定できたミトコンドリア内膜のタンパク質Mitochondrial uncoupling protein 2(UCP2)について、ヒト神経幹細胞におけるノックダウン(KD)によりマウス型遺伝子発現を模倣する解析を行った。ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞株において,UCP2あるいはpancRNAをKDすると,いずれも細胞増殖の有意な抑制と細胞死の増加傾向が認められ,この結果はKDサンプルのRNA-seqデータにも支持された。反対に,子宮内エレクトロポレーションによるマウス胎仔脳へのマウスUcp2過剰発現を行うと,神経幹・前駆細胞の増加傾向が認められた。同様に, 例えば,エクソソーム膜で機能することが知られるヒト特異的pancRNA駆動型遺伝子CD63について,マウス大脳発生中の神経幹細胞においてヒト型発現を模倣すると,大脳新皮質の層構造のうち,深層ニューロン(Ctip2+)の数は変化させずに,浅層ニューロン(Satb2+)の数が増大し,さらに,マウスではみられないはずのしわの原基のような構造が構築された。したがって,pancRNA獲得に伴うこれらの遺伝子の発現量種差は,大脳神経幹細胞増殖変化を介して表現型の差異形成に寄与してきたことが強く示唆された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(17 results)