2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H03269
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
竹花 佑介 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60432093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安齋 賢 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20779467)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性決定遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、互いに近縁でありながら異なる性決定システム(XY型およびZW型)を示すメダカ属javanicusグループの4種について、全種から性決定遺伝子を同定することで、XY型からZW型が生じた進化メカニズムを解明することを目的としている。本年度は、ゲノム解析とトランスクリプトーム解析を用いた性決定遺伝子候補の探索を中心に、以下の実験を行った。 ZW型を示すジャワメダカ(ペナン系統、マレーシア)については、昨年度のゲノム解析で特定したW染色体特異的領域から複数の候補遺伝子を同定し、それらが性決定時期に発現することを見出した。ところが本年度、新たに本種のスラウェシ系統(インドネシア)を解析したところ、ペナン系統とは異なる性染色体を持つことが判明した。そこで集団ゲノム解析を実施したところ、本系統はXY型であり、性染色体はメダカ9番染色体と相同であることが示された。さらに、この染色体上に存在するDmrt1遺伝子はXでは1コピーなのに対し、Yでは30コピー以上遺伝子重複していることが明らかになった。このことから、本系統の性決定遺伝子はDmrt1の重複遺伝子であることが示唆され、同種内で比較的最近にXY型とZW型の交代が生じたことが考えられた。また、ZW型のハブスメダカについては、ゲノム解析によってZ染色体とW染色体の配列を区別して構築し、それぞれの染色体構造を明らかにした。 一方、XY型のハウザンメダカについては、詳細な機能解析により、Y染色体特異的な重複遺伝子Dmrt1Yがオス決定に必須であり、常染色体上の祖先遺伝子Dmrt1はオス分化に関与しないことが明らかになった。このことから、本種のDmrt1Yはオス決定という新規機能を獲得しただけでなく、本来Dmrt1が果たしていたオス分化機能をも分担するという新しいタイプの性決定遺伝子であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って各種のゲノム解析が完了し、トランスクリプトーム解析も実施できた。これにより性染色体の構造変化や性決定遺伝子候補を特定できた。また、ノックアウト系統の作出と解析についても、期待通りの成果を得ることができた。さらに、本年度は新たにジャワメダカのスラウェシ系統から新規のY染色体を特定することもできたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
各種についてさらに詳細なトランスクリプトーム解析を行い、性決定時期に性特異的な発現パターンを示す候補遺伝子を同定すると同時に、性分化過程を種間で比較する。性決定遺伝子候補については、遺伝子ノックアウト実験と遺伝子導入実験を行い、これらの候補遺伝子が性決定機能をもつかどうかを明らかにする。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Effects of synthetic sex steroid hormone exposures on gonadal sex differentiation and dynamics of a male-related gene, Gonadal soma-derived factor (Gsdf) and an estrogen up-regulated gene, Choriogenine-H (ChgH) gene expression in the euryhaline Javafish medaka, Oryzias javanicus, based on genetic sexes.2021
Author(s)
Myosho T, Hattori M, Yamamoto J, Toda M, Okamura T, Onishi Y, Takehana Y, Kobayashi T
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Journal Title
Chemosphere
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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