2021 Fiscal Year Annual Research Report
陸から海にもどった羊膜類の適応形質進化機構の法則を探る
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19H03289
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
土岐田 昌和 東邦大学, 理学部, 准教授 (80422921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 洋平 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (30432016)
岸田 拓士 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 准教授 (40527892)
田村 宏治 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70261550)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 羊膜類 / 海生適応 / 適応形質 / 進化 / 比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、塩類腺をもつ海棲のアオウミガメ、フンボルトペンギン、比較種として塩類腺をもたない淡水棲カメ類(クサガメ、スッポン)および陸棲鳥類(ウズラ、オカメインコ)の一連の発生段階にある胚頭部組織切片から、三次元モデルを構築し、塩類腺の形成様式を立体的に評価した。ウミヘビに関しては、昨年から続く新型コロナウィルスの影響で、野外での標本収集が規制されたため、解析を行うことができなかった。また、Fgf10、Bmp4、Bmp7、Shh、Pax6、Gli3、Sox9など腺形成に関与するとされる一連の遺伝子の発現様式を海生種と非海生種の頭部組織発生において調べ、種間で発現様式の類似性と相違性を評価する計画であったが、解析を実施することができなかった。 前年度の解析により、ウミガメでは胚発生のある期間に前指を構成する軟骨が急激に伸長することが分かっていた。そこで本年度では、ウミガメおよび比較種として指骨の伸長が緩やかに進むクサガメ胚およびスッポン胚の前肢原基を摘出し、その組織切片を作成し、前肢原基での細胞分裂率を3種間で比較した。その結果、ウミガメでは非海生カメ種に比べ、前指を構成する軟骨細胞の細胞分裂率が約2倍に上昇していることを突き止めた。 ウミガメおよび淡水棲カメ類であるクサガメ、スッポン胚の眼部よりtotal RNAを抽出し、ハイスループットシーケンサを用いてトランスクリプトームの比較解析を行った。その結果、海生適応を果たしたウミガメの眼でのみ、オプシン遺伝子の発現量が急激に上昇していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウィルス感染症の流行が昨年度から続いている状況であり、研究代表者ならびに研究分担者の所属機関においても研究活動に引き続き一定の制限が設けられた。また、出張の制限などもあり、野外における研究試料の収集にも支障が出たことから、解析用の標本を十分集めることができなかった。このため、当初の研究計画からは進捗が遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症収束の見通しが未だ立っていない状況であり、今後も引き続き研究代表者および研究分担者の所属機関における研究活動が制限される可能性が高いが、研究活動が認められる範囲で、解析試料の収集や実験によるデータ収集、得られたデータの解析を継続して進めていきたい。
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Research Products
(2 results)