2019 Fiscal Year Annual Research Report
他者の動作情報処理における社会脳システムの機能連関の解明
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19H03344
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
磯田 昌岐 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 教授 (90466029)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会脳 / 他者 / 自己 / 動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度当初の実施計画に従い、対面する2頭のニホンザルに対して行動タスクをトレーニングした。各サルの前にそれぞれ3つの選択ボタンを配置し、その中から1つを選ぶという動作選択タスクを開発した。動作選択を行うサル(アクター)は必ずどちらか一方とし、他方のサル(オブザーバー)は相手の動作選択を観察するようにした。アクターとオブザーバーの役割は、3試行毎に規則正しく交替するようにした。3つの選択ボタンのうち1つのボタンのみを正解とし、それを選択した場合に報酬が得られるようにした。さらに非社会的条件として、1頭のサルをビデオモニターと対面させ、ビデオ内に映し出される物体の棒が選択ボタンを押す状況を作り出した。社会的条件と非社会的条件とで、サルの総試行回数、反応時間、相手のサル又は棒の動きを注視する時間に明らかな差は認められなかった。一方、タスク遂行の正答率は、非社会的条件と比べ、社会的条件で高かった。 サルの行動トレーニングが完了したことを確認してから、神経活動の計測を行う大脳前頭葉皮質の2領域、すなわち腹側運動前野と内側前頭前野を機能的に同定した。この際、サルの自発的運動遂行に伴う神経活動の修飾に加えて、体性感覚応答、視覚応答、及び微小電気刺激による運動誘発効果を指標とした。さらに、多点電極を標的脳領域に挿入して、タスク遂行中に、神経活動を高い時間空間解像度で2領域から同時に計測できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画では、行動タスクのトレーニングと行動データの解析を完了することを目標としていたが、研究実績の概要に記載したとおり、神経活動計測を行う2つの標的脳領域の生理学的同定まで完了することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、生理学的に同定した腹側運動前野と内側前頭前野のそれぞれに多点電極を挿入して、行動タスク遂行中の神経活動を計測・解析し、自他の動作情報処理における2領域の役割を比較する。さらに、得られた神経活動を社会的条件と非社会的条件で比較することにより、生物学的運動に対する選好性を2領域間で比較する。
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Research Products
(14 results)