2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on structure and interaction of branched glycans
Project/Area Number |
19H03362
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山口 芳樹 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (90323451)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 糖タンパク質 / NMR / 糖転移酵素 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 13C-NMR法による糖タンパク質の水素結合の解析 水素結合を直接観察する一つの手段としてNMR法が用いられている。1H-NMR法は糖鎖ヒドロキシ水素を直接観測する利点を有する一方で、シグナルの化学シフト範囲が狭く、他の信号と重複することが問題であった。本研究ではその問題を解決するため、広い化学シフト域を有する13C-NMRを用いて解析を行った。13C-NMR測定には分岐型高マンノース糖鎖を含むRNase Bをモデル糖タンパク質として、H2O : D2O = 1 : 1の溶媒を使用して行った。そして、糖鎖に由来する13C-NMRシグナルの線形の温度依存性を観察することにより、ヒドロキシプロトンのH/D交換速度に関する情報の抽出を試みた。その結果、高温ではsharpな13Cシグナルが観測された一方、低温においてはbroadな13Cシグナルが観察された。13C-NMRの感度の低さの問題は残されているものの、糖タンパク質糖鎖の水酸基に由来する水素結合の解析法として13C-NMR法の有効性を示した。 2. 分岐糖鎖を有するタンパク質と糖転移酵素との相互作用解析 分岐型糖鎖に作用する糖転移酵素UGGTの分子メカニズムを解明するため、糖転移酵素およびその補助因子の発現系構築を最初に検討した。細胞内に発現している糖転移酵素の抽出条件の最適化(超音波破砕の時間、可溶化剤の添加)を行い、糖転移酵素の一段階精製法を確立した。また補助因子の分泌発現・精製法を確立し、補助因子内のジスルフィド結合ペアを2組同定した。さらに、精製した糖転移酵素と補助因子を混合後、ゲルろ過カラムを用いて安定な複合体を単離することに成功した。その複合体をネガティブ染色後に2D解析を行ったところ、クライオ電顕で観察が見込める単分散の像を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試薬の到着の遅れ・故障機器の修理の遅れなどはあったが、おおむね当初の計画目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
計算科学の基盤を整えるとともに、電子顕微鏡観察のための高濃度タンパク質試料を調製する。
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