2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of cancer-specific apoptosis induction targeting ERK hyperactivation
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19H03376
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
杉浦 麗子 近畿大学, 薬学部, 教授 (90294206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 元三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40217104)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ERK依存的細胞死 / リン酸化プロテオミクス / 膵臓がん / ACA-28 / KRAS変異 / 抗がん剤 / アポトーシス / ERK MAPK |
Outline of Annual Research Achievements |
杉浦が独自の創薬探索手法により発見したERK MAPKシグナル調節剤である<ACA-28>は、ERK活性依存的細胞死を、がん細胞選択的に誘導することにより、抗腫瘍効果を発揮する。本研究の目的は「ACA-28は、いかなる分子を標的として、ERK MAPKを活性化するのか?」「ACA-28を介するがん細胞選択的な増殖抑制メカニズムは?」という問いを明らかにすることにより、<ERK依存的細胞死>に関わる細胞内シグナル伝達経路を浮き彫りにすることである。今年度は、ACA-28およびそのリード化合物であるGT-7が各種のRas変異を有する膵臓がんに対して細胞死を誘導できることを証明した。特にKRasQ61H変異を有する膵臓がん細胞であるT3M4に対して、ERK依存的細胞死を誘導できることを世界で初めて証明した。一方、KRasG12V変異を有するPANC-1細胞はGT-7依存的な細胞死に抵抗性を示すこと、AKTの活性化がGT-7依存的な細胞死抵抗性のメカニズムであることも証明した。本研究により、KRAS変異を有する膵臓がん細胞に対してGT-7は有効なERK依存的細胞死を誘導するとともに、GT-7とAKT阻害剤の併用が膵臓がんの新たな治療戦略となりうることも明らかになった。ACA-28およびGT-7の標的分子に関しては、ACA-28にビオチン修飾を行った標識化合物を合成し、プルダウン実験と質量分析の手法によりACA-28結合タンパク質を複数同定した。また、リン酸化プロテオミクスの手法を用いてACA-28の標的候補因子群を同定している。現在これらの分子とACA-28の結合やACA-28依存的リン酸化のvalidationを行うとともに、これらの標的候補分子のノックダウンがACA-28あるいはGT-7依存的な細胞死に与える影響を解析している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ACA-28のリード化合物であるACAGT-007(GT-7)が、膵臓がん細胞においてERK依存的細胞死を引き起こすことを世界で初めて証明できた。また、KRAS変異を有する膵臓がん細胞におけるGT-7依存的細胞死抵抗性の機序としてAKT活性が重要であることを証明した。これらの結果はERKシグナル促進剤とAKT阻害剤の併用することにより、膵臓がん細胞に効果的に細胞死を誘導できる新たながん治療戦略につながる重要な知見である。また、GT-7に代表されるERK依存的細胞死の作用機構を理解する上で不可欠な「標的分子の同定」に関しては、質量分析とリン酸化プロテオミクスを組み合わせることにより、絞り込みが行われており、現在その評価と細胞死に与える影響を解析する段階である。興味深い結果として、ACA-28結合タンパク質と核内核外輸送制御因子の関わりが浮上していることからも、ACA-28およびそのリード化合物は、癌細胞選択的細胞死に関わる因子の細胞内局在制御に関わる可能性を検証しており、ERK MAPKシグナルの空間的制御によるがん細胞選択的細胞死誘導という新たながん治療のコンセプトを提唱できる可能性がある。上記の結果からも、本研究課題は順調に進捗している判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ACA-28あるいはそのリード化合物の標的分子候補を複数同定しているため、それらの因子のノックダウンを行い、ACA-28依存的な抗腫瘍効果に対する影響を検証する。一方、ERK依存的な細胞死のメカニズムにはリン酸化ERKの細胞内分布の関与が示唆されている。我々が同定したACA-28結合因子の中には、前述のように、タンパク質の核内-核外輸送に影響を与える因子が含まれていることから、これらのACA-28結合タンパク質がリン酸化ERKの細胞内分布に与える影響を検証する。さらに、ACA-28がいかにしてがん細胞選択的細胞死をERK活性依存的に誘導するのかに関しては、既にリン酸化プロテオミクスの手法により、候補分子を複数同定している。これらの候補分子の中には、ERKやAKT, mTORなどの癌化シグナルを制御する因子が含まれていることからも、ACA-28およびその誘導体により引き起こされる細胞死が、これらのERK, AKT制御因子のノックダウンにより影響を受けるのかを検証する。一方、ACA-28およびGT-7の適応拡大の観点から、既に悪性黒色腫、膵臓癌という難治性の癌腫に対する有効性を証明できたことから、現在大腸癌、および骨肉腫、乳がん細胞などに対する有効性を検証している。さらに、膵臓癌細胞を用いて明らかにしたACA-28およびGT-7が感受性を示すKRAS変異が他の癌腫のACA-28に対する感受性に影響を与えるのかを臨床検体を用いて検証する。
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Research Products
(31 results)
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[Journal Article] Comprehensive Analysis of Prognostic Microenvironment-Related Genes in Invasive Breast Cancer2022
Author(s)
Yingrong Shi, Si Chen, Huijuan Xing, Guanglie Jiang, Nan Wu, Qiannan Liu, Norihiro Sakamoto, Takayoshi Kuno, Reiko Sugiura, Qinghuan Xiao, Feng Jin, Yue Fang, Fan Yao
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Journal Title
Front Oncol .
Volume: 11
Pages: 576911.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Oncogenic transformation of NIH/3T3 cells by the overexpression of L-type amino acid transporter 1, a promising anti-cancer target2021
Author(s)
Natsumi Hayashi, Akitaka Yamasaki, Shiho Ueda, Shogo Okazaki, Yoshiya Ohno, Toshiyuki Tanaka, Yuichi Endo, Yoshihisa Tomioka, Kazue Masuko, Takashi Masuko, Reiko Sugiura
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Journal Title
Oncotarget.
Volume: 12(13)
Pages: 1256-1270
DOI
Peer Reviewed
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