2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規リアノジン受容体作用薬を利用したサブタイプ特異的チャネル制御の分子機構
Project/Area Number |
19H03404
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村山 尚 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10230012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 治夫 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (40292726)
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (50133335)
小林 琢也 順天堂大学, 医学部, 特任研究員 (60468585)
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | リアノジン受容体 / カルシウムチャネル / 筋小胞体 / 創薬 / サブタイプ / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
リアノジン受容体(RyR)は小胞体膜の超巨大Ca2+遊離チャネルで、細胞内Ca2+調節機構に重要な役割を果たしている。RyRには機能と制御機構が異なる3種類のサブタイプが存在するが、その分子基盤については不明である。我々は独自のスクリーニング技術により、サブタイプ選択的RyR作用薬を網羅的に同定することに成功した。本研究では、これらの薬物の作用機序を解析し、結合部位とその構造変化を同定することにより、サブタイプ特異的制御機構を原子レベルで解明する。本年度は新規作用薬の作用機序の評価を前年度から引き続き行うとともに、キメラチャネルを利用した結合部位の絞り込み、クライオ電子顕微鏡単粒子解析による結合部位の同定を行った。4種類の新規RyR2特異的阻害薬について作用機序を検討したところ、いずれもHEK細胞に発現させたRyR2のCa2+オシレーションを抑制し、小胞体内Ca2+レベルを上昇させた。リアノジン結合においてはピーク値を低下させるとともに、活性化Ca2+感受性を低下した。RyR1/RyR2キメラチャネルを用いて責任領域を調べたところ、いずれの阻害薬も同一のドメインに作用することが分かった。作用機序と責任領域の一致から考えて、これらの化合物は同じ機構でチャネル活性を阻害していることが示唆された。阻害薬の一つは精製RyR2チャネルに対しても抑制作用が見られたため、精製RyR2に添加して年度末にクライオ電子顕微鏡観察を行った。結果については現在、解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブタイプ選択的作用薬の作用機序の検討および結合部位の絞り込みについては順調に進捗した。特に、構造が異なる阻害薬が同一ドメインに作用することが分かったことは当該ドメインの重要性を示唆するものであり、非常に重要な知見となった。一方、クライオ電子顕微鏡観察については、コロナ禍でもあり進捗がやや遅れていたが、年度末にようやく電子顕微鏡を使用することが可能となり、観察を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
構造決定のキモとなるクライオ電子顕微鏡観察においては、当該化合物を視認できるかどうかが重要なポイントになる。キメラチャネルを用いた実験から結合ドメインの予想は付いているので、観察条件をいくつか変えることにより、化合物の結合部位の同定を目指す。
|
Research Products
(11 results)