2019 Fiscal Year Annual Research Report
Insights on the mechanism of mitochondrial diseases
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19H03436
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北 潔 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (90134444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲岡 健ダニエル 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (10623803)
小笠原 絵美 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70778274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / 呼吸鎖 / 酸化的リン酸化 / 代替経路 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)の欠失・点突然変異の蓄積は、ミトコンドリア脳筋症をはじめ、様々な疾患の原因になる事が明らかになりつつある。しかし、その詳細な病態発症機構は解明されておらず、mtDNA変異によるミトコンドリア機能の破綻が病態発症の原因である事を示す直接的な証拠はない。本研究の最終目的は、ミトコンドリアの機能を、還元力のエントリーポイントである脱水素酵素群とユビキノン(Qプール)間の電子伝達を触媒する「呼吸鎖の上流経路」と「酸化的リン酸化によるATP合成」に分け、各機能の病態発症における役割を明らかにする事である。その第一段階として本研究では、MELASとKSS患者由来の細胞を用いて作製した各種サイブリッド細胞及びKSSモデルマウス由来細胞を用いて、寄生原虫由来の代替経路を発現する事により、ミトコンドリア内の:①「呼吸鎖上流経路」、②「ATP合成」、③「呼吸鎖上流経路+ATP合成」を回復させ、酸化的リン酸化に関する複数のパラメータの詳細な解析を行い、病態発症機構の解明に向けた生化学的な基盤を構築する。 2019年度は解析用のプラスミド・細胞各種を作成した。コントロールとして用いるpTurbo-GFPmitoを準備した。次に、HeLa細胞に形質転換し、薬剤でセレクションした後ミトコンドリアにGFPが局在する事を確認した。そして、pTurbo-GFPmitoを用いて原虫由来のシアン耐性末端酸化酵素(AOX)とアセチルCoA:コハク酸 CoA転移酵素(ASCT)にヒトのシトクロームc酸化酵素(複合体IV)サブユニットVIIIのミトコンドリア以降シグナルを付加した各プラスミド(pTurboAOX, pTurboASCT)を作成した。各プラスミドを用いて、HeLa細胞に形質転換し、薬剤でセレクションした後ASCTが発現されている事を、特異的抗体で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に計画していた各種プラスミドの作成が完了し、HeLa細胞でASCTの発現を確認した。AOXを発現するHeLa細胞に関しては、細胞からミトコンドリアを単離し、AOX活性を測定するための条件検討を開始できたため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019度に引き続き、AOXをミトコンドリアに発現させたHeLa細胞を作成する。発現が確認されたpTurboASCTの解析を進め、培養細胞から単離したミトコンドリアのASCT活性を測定し、オリゴマイシンAに対し耐性の有無や、ATP量、代謝フラックス解析でHeLa細胞におけるASCTの機能を明確にする。同時にpTurboASCTを研究分担者(小笠原)に分与し、ミトコンドリア病モデル細胞に形質転換し、ミトコンドリア機能の各種パラメータを測定する。pTurboAOXに関しても、同様に進め、発現・活性が形質転換したHeLa細胞で確認され次第、研究分担者に分与する。
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