2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a quantification method of seizure susceptibility using brain-wide electrical spatiotemporal dynamics
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19H03550
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹内 雄一 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 研究員 (70588384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 匡弘 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (80369173)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | てんかん / 脳波 / 局所電場電位 / けいれん準備性 / 発作感受性 / バイオマーカー / 機械学習 / クロススペクトル因子分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんは脳内にけいれん準備性が形成されて、発作を繰り返し起こすようになる病態である。てんかんを根治するためには、けいれん準備性を客観的に評価し、低減・消去する手法を開発する必要がある。しかしこれまでけいれん準備性の実態が不明であり、その評価が困難であることが根治療法の研究開発を妨げてきた。そこで本研究では、まずてんかんラットにおける全脳の神経活動からけいれん準備性を説明する脳活動パターンを情報学的手法で抽出・同定し、その程度をけいれん準備性スコアとして定量化する技術を確立する。次に同定したけいれん準備性脳活動パターンの解析とその定量法を用いて、けいれん準備性スコアを低減・消去する手法を探索することを目的とする。初年度は以下の項目を達成した。
1. モデル動物における大規模電気生理学記録:全身けいれんが問題となる側頭葉てんかんを対象とし、海馬電気キンドリングラットを用いた。当該てんかんラットの多脳領域(海馬、梨状皮質、嗅内皮質、扁桃体、前頭前皮質、帯状回、体性感覚、運動野)に慢性電極留置処置を行い、自由行動下で細胞外記録を行った。覚醒・睡眠時の記録を、キンドリング(けいれん準備性の形成)の前中後に連日行った。
2. けいれん準備性を説明する脳活動パターンの同定・モデル化:前項で取得した電気生理学記録をクロススペクトル因子分析法で解析した。この脳領域間の同期性振動(オシレーション)に注目した情報学的手法により、けいれん準備性を説明する脳活動パターンを抽出同定し、モデル化することに成功した。即ち当該モデルを用いて、キンドリング処置前後の脳活動記録について、けいれん準備性スコアを定量化し、識別することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行に際して重要な技術的課題である「けいれん準備性を説明する脳活動パターンの抽出・モデル化」を既に達成できたため。さらに当該モデルを用いて、任意の脳活動記録のけいれん準備性スコアを定量化する技術的基盤を築いた。そのため「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果を受け、動物実験の例数追加とクロススペクトル因子分析を継続し、けいれん準備性脳活動モデルの精度を高める。次に、けいれん準備性脳活動モデルの発作感受性バイオマーカーとしての妥当性および有用性を評価する。 1. てんかんモデル動物における大規模電気生理学記録:引き続き海馬電気キンドリングラットを用いる。自由行動下における、多脳領域からの慢性細胞外記録データを収集する。記録は、キンドリング(けいれん準備性の形成)の前中後に連日行う。 2. けいれん準備性を説明する脳活動パターンモデルの解析:前項で取得した多くの電気生理学記録を用いて、モデルをさらに訓練し、けいれん準備性の定量化精度を高める。さらに同定したモデルを分析し、けいれん準備性に特異的なオシレーションパターン、即ちどの脳領域間で、どの周波数で、どの程度の位相遅延で、どちらの向きに、どの程度の情報量が流れているかを解析する。 3. けいれん準備性脳活動モデルの発作感受性バイオマーカーとしての妥当性評価:前項で抽出同定した脳活動モデル群の、発作感受性バイオマーカーとしての妥当性を評価する。そのため、まずけいれん準備性脳活動モデル群による各けいれん準備性スコアと発作感受性との相関関係を検討する。即ち各けいれん準備性スコアにより自発発作を予測できるか検討する。次にけいれん準備性脳活動と発作感受性との因果関係を検証する。そのためLoss-Of-Function解析として、各けいれん準備性脳活動パターンのハブとなる脳領域を化学遺伝学的操作で一時的に抑制した際、自発発作頻度が減少するか検討する。次にGain-Of-Function解析として、光遺伝学的操作でけいれん準備性脳活動パターンの中心的なオシレーションを脳内に人為的に生じた際、自発発作頻度が増えるか検討する。
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Research Products
(18 results)