2019 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic background of acute lymphoblastic leukemia in children
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19H03614
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高木 正稔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10406267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛武 浩 宮崎大学, 医学部, 教授 (40336300)
浦山 ケビン 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 部長 (60726850)
重水 大智 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, メディカルゲノムセンター, ユニット長 (70617464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性リンパ性白血病 / 小児 / レアバリアント / 疾患感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児白血病の4.4%に既知の家族性腫瘍にかかわる遺伝子の異常がある。またPAX5やIKZF1の生殖細胞レベル異常による家族性急性リンパ性白血病(家族性ALL)が報告されている。しかし、その遺伝的背景の全貌についてはまだ十分に研究が進んでいない。そこで小児急性リンパ性白血病(ALL)の遺伝学的背景を明らかにするため下記の3つのアプローチで検討を行った。 1、ディスカバリーコホートとして小児ALLを発症した患者由来正常体細胞DNA582例を用いて、これまで家族性ALLの疾患感受性遺伝子として報告のあるIKZF1、PAX5、またB細胞分化にかかわる代表的な転写因子としてTCF3及びGWASによって明らかにした疾患感受性遺伝子候補ARID5B についてターゲットシークエンスを行った。 2、PAX5異常による家族性ALLは世界的にも数家系のみで報告されている。本邦でも、これまでに申請者らが1家系のみを同定している。その1家系についてその免疫機能を検討したところIgMメモリー細胞の減少、形質細胞様樹状細胞の減少をみとめた。これらの発見がPAX5異常症に共通した現象かどうか、欧米と協力し解析を行っている。新規の同定されたPAX5のバリアントについて、その臨床像を検討したところ、無ガンマグロブリン血症を合併した、分類不能型免疫不全症(CVID)であることが明らかとなった。 3、また小児期に自己免疫性血小板減少症と診断され、その後にALLを発症し、引き続いて下顎の乳腺類似分泌癌を発症した症例の解析を行った。Whole-exon sequencingにより、ETV6遺伝子にc.641C>T(p.Pro214Leu)の変異を認めた。これはすでに報告されている病的バリアントであった。この異常がETV6にあたえる機能的意義について分子生物学的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1、小児ALLの遺伝学的な背景を探索するためのリンパ球分化にかかわる遺伝子のターゲット解析で、その結果KZF1 0個、PAX5 6個、ARID5B 7個、TCF3 8個のレアバリアントが同定された。 2、免疫不全を合併したALLから新規に同定されたPAX5のバリアントを持つノックインマウスを作成した。 3、血小板減少を伴うALLから同定したETV6のバリアントの機能解析をおこなった。ETV6はMMP3の転写抑制を引き越すことが知られているが、Pro214Leu変異体は転写活性抑制効果が欠失していることが、明らかとなった。また野生型ETV6は核に局在するが、Pro214Leu変異体は細胞質優位に集積し、タンパク自体の発現量が低下していることが明らかとなった。この変異により、タンパク質発現量が低下する原因として、細胞に局在しているPro214Leu変異体はユビキチン化が亢進し、その結果タンパク質分解の速度が上昇していることが明らかとなった。ETV6の残基332-452はその核局在を仲介し、タンパク質のN末端部分はその細胞質局在に重要なことが知られている。さらに、Lys 99のSUMO化とETV6のSer 257のp38依存性リン酸化は、ストレス後の細胞質の再局在化に必要である。 Pro 214は、これらの既知の局在を規定するメカニズムのいずれにも関連してはいない。Pro 214残基の役割は、ETV6機能の包括的な解明のためのさらなる検討が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1、小児ALLの遺伝学的な背景を探索するためのリンパ球分化にかかわる遺伝子のターゲット解析で、その結果KZF1 0個、PAX5 6個、ARID5B 7個、TCF3 8個のレアバリアントが同定された。その各々について機能解析を行う。 2、免疫不全を合併したALLから新規に同定されたPAX5のバリアントを持つノックインマウスを作成した。その表現型を観察する。 3、乳児白血病にかかわる新規の疾患感受性遺伝子の同定 これまでの乳児ALL52例の患者由来正常体細胞DNAのエクソーム解析を行った。この解析結果に対しBurden testを用いたレアバリアント解析を行い、統計的に有意差を持って疾患感受性にかかわる経路、遺伝子候補を同定した。さらに乳児ALL25例の検体を入手することができたため、これらに関しエクソーム解析を追加して行い、先の解析により候補となった遺伝子についてバリデーションコホートとして評価する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] NUDT15 Variants Confer High Incidence of Secondary Malignancies of ALL in Children2019
Author(s)
Yoshida, M. Nakabayashi, K. Sato-Otsubo, A. Tsujimoto, S. Yoshida, K. Shirai, R. Osumi, T. Yuza, Y. Takagi, M. Takahashi, H. Koh,K. Kinoshita, A. Hino, M. Imamura, T. Nakazawa, Y. Okuya, M. Kakuda, H. Sanada, M. Matsumoto, K. Tomizawa, D. Kiyokawa, N. Ohara, A. Manabe, A. Hata, K. Yang, J, J. Kato, M.
Organizer
61st American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition
Int'l Joint Research
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[Presentation] Genomics Analysis of Leukemia Predisposition in X-Linked Agammaglobulinemia2019
Author(s)
Nishimura A, Naruto T, Hoshino A, Amano K, Iwamoto S, Hirayama M, Grigg A, Bosco J J, Migita M, Takagi M, Ohara O, Morio T, van Zelm MC, Kanegane H
Organizer
19th Biennial Meeting of the European Society of Immunodeficiencies (ESID2019)
Int'l Joint Research
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[Presentation] 小児のモノソミー7を伴う血液疾患における生殖細胞系列のSAMD9/9Lバリアント保有率2019
Author(s)
吉田仁典, 中尾佳奈子, 島彦仁, 白井了太, 吉田馨, 辻本信一, 大隅朋生, 出口隆生4, 森麻希子5, 荒川ゆうき, 高木正稔, 宮村能子, 坂口公祥, 豊田秀実, 石田悠志, 坂田尚己, 今村俊彦, 川原勇太, 小池隆志, 富澤大輔, 清河信敬, 鳴海覚志, 加藤元博
Organizer
第81回日本血液学会学術集会
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