2021 Fiscal Year Annual Research Report
iPS発がんモデルとゲノム編集スクリーニングによる神経芽腫エピゲノム療法開発
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19H03625
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
上條 岳彦 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 所長 (90262708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 美紀 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (20311384)
堺 隆一 北里大学, 医学部, 教授 (40215603)
牛島 俊和 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (90232818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム / ポリコーム / テロメア異常 / 網羅的解析 / ゲノム編集 / iPS / nural crest cell |
Outline of Annual Research Achievements |
新規エピゲノム治療開発として、 ポリコーム(PcG)阻害剤の耐性機構の克服に寄与する標的分子を同定するために、ゲノム編集による標的分子の網羅的スクリーニングによって標的分子を同定した。神経芽腫細胞においてPcG遺伝子群であるEZH1, EED, L3MBTL2をCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集系およびshRNAでKO/KDした。それぞれの分子が特にMYCN増幅NBにおいて発がん悪性化に重要であることをバイオロジー解析で確認した。これらの系でマイクロアレイによる発現網羅的解析と、ChIPseqによる網羅的なクロマチン修飾解析およびqChIPによる検証によってPcG阻害剤の耐性機構の克服に寄与する標的分子を同定した。 難治性神経芽腫におけるテロメア異常は重要な発がん・悪性化機構である。我々は特にAlternative Lengthen of Telomere: ALTに注目し、この原因分子であるATRXについてCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集によってNB細胞においてATRXをKOした。ATRX KOによって、NB細胞でG-quadruplex (G4) structureが形成され、DNA damage誘導が生じた。これに伴いγ-H2AXの増加、ATM, CHK2, p53, p21waf1/cip1の転写促進が起こり、増殖抑制の原因と考えられ、これはマイクロアレイによる発現網羅的解析とGSEA解析によって証明された。 また現在NB細胞の起源であると考えられるNeural Crest CellをiPS細胞から誘導する刑を構築し、これに対してCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集によってATRX KO系を確立した。さらにCas9/sgRNAsを誘導できるレンチウイルスライブラリーを2種入手し、これらのQCを行いNCCへの感染実験を施行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PcG遺伝子群であるEZH1, EED, L3MBTL2をCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集系等で不活化した。 EEDの標的としてRARB, NTRK1の脱抑制と、これらのプロモーター領域へのEZH2およびH3K27me3 ChIPseqによる結合を確認して標的分子として同定した。さらにEED阻害剤EED226とHDACi SAHAの相乗的な増殖抑制効果を明らかにし、MYCN増幅難治性NBの治療法開発に向けたデータを得た。本研究はEuropean J Cell Biologyに受理された。 EZH1の標的としてがん遺伝子群TYMSとPOLA2を同定した。TYMSは5-FU代謝を行うthymidylate synthetaseをコードしており、EZH1がNB細胞の5-FU抵抗性に関与することが示唆された。Cancer Science誌に投稿し、revise中である。 L3MBTL2の標的を発現網羅的解析と網羅的ChIPseqおよびqChIP検証によってL3 KO細胞で共通に脱抑制し、PRC1.6が発現抑制に関与する遺伝子を同定した。これらは神経芽腫のがん抑制遺伝子NRIP3とBRME1であった。本研究は現在Oncogenesis誌 review中である。 難治性NBにおけるテロメア異常は重要な発がん機構であり重要な治療標的である。我々は特にAlternative Lengthen of Telomere: ALTに注目し、この原因分子であるATRXについて注目しCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集によってATRXをKOした。ATRX KOによるG4 structure形成とその原因としてG4-resolving helicases FANCD2発現抑制を見出した。本研究はOncogenesis (2021) 10:73として掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在EZH1研究は、EZH1 KDによってNB細胞にアポトーシスが誘導され、この分子機構解析としてTYMSとPOLA2を同定し、EZH1によるこれらの転写促進を見出した。Cancer Scienceに投稿し、revise中であり、受理に向けて実験を追加していく。 現在L3MBTL2研究は、L3MBTL2がPRC1.6分子としてMYCN増幅NB細胞においてがん抑制遺伝子群の発現を抑制し、細胞恒常性の維持に関わることを見出した。現在Oncogenesis review中であり、受理に向けて実験をさらに行う。 NB細胞の起源であると考えられるNeural Crest Cell: NCCをiPS細胞から誘導する系を構築している。今年度はNCCをさらにCranial NCCとTrunk NCCの2種に分化して遺伝子導入を効率的に行う系を構築する。NCCに対してCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集によってATRX KO系を確立している(未発表)。この系でのATRX KO/p53変異細胞から形質転換を行い、この形質転換株でテロメア異常解析(Telomere長解析、ALT解析、TERT定量など)を行い、テロメア異常検出株でゲノム・エピゲノムの網羅的解析をWES, WGS, RNAseq, DNA methyl化アレイ、ChIPseqで行う。これによって難治性神経芽腫におけるテロメア異常の1つで治療標的として注目されているALTの分子機構を解明し、治療法開発に向けて基盤を構築する。 Cas9/sgRNAsを誘導できるレンチウイルスライブラリーを2種入手しており、これらのQCを行いNCCへの感染実験を施行している。今年度はこの系の構築と感染・スクリーニング実験を行い、新規エピゲノム治療開発として ポリコーム阻害剤の耐性機構の克服に寄与する標的分子を同定する。
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[Presentation] Development of a chondroblastic osteosarcoma model from iPSC-based neural crest cells2021
Author(s)
Kyosuke Mukae1, Hisanori Takenobu1, Hiroaki Kanda2, Miki Ohira1, Yuki Endo1, Masayuki Haruta1, Ryuichi Sugino1, Shunpei Satoh1, Junya Toguchida3, 4, Kenji Osafune4, Tatsutoshi Nakahata4, Takehiko Kamijo1
Organizer
The 80th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
Int'l Joint Research