2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiological mechanisms of neurodevelopmental disorders caused by abnormalities of cell cycle-regulatory genes
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19H03629
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
永田 浩一 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 部長 (50252143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性小頭症 / 知的障害 / CEP152 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性小頭症(MCPH)は、細胞周期制御遺伝子の異常を原因とする遺伝性疾患で知的障害(ID)を必発する。大脳発生時に細胞周期の障害が生じ、神経細胞の増殖障害や細胞死が誘導されることで小頭症になると考えられる。MCPHになっても脳構造自体には顕著な異常がないことが多く、神経細胞の不足によりシナプスのネットワーク形成不全が起きることがIDの原因と考えられる。一方、MCPH患者では脳回の複雑性が失われる場合も多く、神経細胞の“数の不足”に加えて、発達期大脳皮質における神経細胞の移動・局在異常もIDの病態に関与する可能性もある。 CEP152は中心体結合タンパク質であり、中心体の複製に必須の役割を担う。また、MCPHおよびSeckel症候群(矮小発育症)の責任遺伝子としてよく知られており、常染色体劣性遺伝にて発症する。当センターでは小頭症患者の全エクソーム解析により、CEP152の新規の機能喪失型変異を見出した。CEP152の遺伝子異常が引き起こす小頭症の病態メカニズムは殆ど不明である。そこで、CEP152の脳発生における機能解明に着手した。 CEP152ノックアウトマウスを作出した。ホモマウスは胎生致死であったが、患者の変異を模倣したところ体の小さいマウスが得られた。この変異マウスは出生時に既に体が小さく、同様に脳も小さかった。組織学的解析により、変異マウスでは有糸分裂期の中心体の数が野生型と比較して有意に減少していた。また成獣でも体重、脳重量共に野生型と比較して小さかった。マクロレベルの観察では、中枢神経系は全体がバランス良く小さくなっており、特徴的な表現型として小脳の低形成が観察された。これらの表現型はCEP152変異によるSeckel症候群患者の表現型と類似していた。現在までに得られた成果を原著論文として報告した。現在、2報目の原著論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属するセンターで小頭症患者の全エクソーム解析により、CEP152の新規の機能喪失型変異を見出したこともあり、CEP152の病態解析を優先して行った。本研究課題に関連して原著学術論文が1報採択された。また、iGONAD法を用いて簡便に遺伝子編集マウスを作成する技術を導入し、CEP152変異モデルマウスを作出した。モデルマウスはヒトの病態をよく反映していると考えられる。すでに多くのデータを集積しており、2報目の論文作成も視野に入っていることから計画はおおむね順調に進んでいると考えている。他の小頭症原因遺伝子であるSTIL,CEP120,SPICEについても順調にデータは蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
CEP152の病態解析は終了が近い。今後は早期の学術論文発表を目指す。また、STIL, CEP120, SPICEについても、iGONAD法を用いて疾患モデルマウスを作成する予定である。これらのマウスの解析を推進して、小頭症の病態メカニズムの全貌解明に迫りたいと考えている。
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Research Products
(9 results)