2019 Fiscal Year Annual Research Report
Intra-renal signaling through post-translational modification as the potential target to counteract kidney diseases
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19H03678
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 教授 (60508068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 好古 帝京大学, 医学部, 講師 (10459315)
石澤 健一 帝京大学, 医学部, 講師 (10772684)
山崎 修 帝京大学, 医学部, 講師 (80757229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食塩感受性 / 肥満糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓は異なる機能を有する多様な細胞から構成されており、それぞれの細胞の独自の機能が相互に連関することで腎臓としての適切な応答が誘導されている。本研究では、腎臓内における翻訳後修飾を介した細胞選択的なシグナル伝達が果たす生理的および病的役割について、主に膜輸送体制御に焦点をあてて検討している。肥満糖尿病には高頻度に高血圧が合併することが知られている。このメカニズムを明らかにするため、肥満糖尿病モデルを用いた検討行った。その結果、肥満糖尿病モデルであるdb/dbマウスでは腎臓遠位尿細管におけるユビキチンリガーゼKLHL3のリン酸化と不活性化が認められ、その結果として同部位のNaCl共輸送体(NCC)の活性化と、食塩感受性の亢進が認められることが判明した。興味深いことに、この変化はSGLT2阻害薬では抑制されるものの、インスリン投与やPPAR作動薬では抑制されなかった。更に、腎臓培養細胞を用いた検討にて、糖が直接的にprotein kinase Cの活性化とKLHL3のリン酸化・不活性化を惹起することが判明した(Ishizawa, Shibata, J Am Soc Nephrol 2019)。一方で、糖尿病性腎症においては、尿細管糸球体フィードバック機構(TGF)の異常と腎障害との関連が注目されている。腎尿細管ヘンレ係蹄(TAL)に発現するNa-K-2Cl共輸送体 (NKCC2)は同部位に到達するClイオンを感知することで、TGFに不可欠な役割を果たしているが、これまでの我々の検討から、肥満糖尿病においてNKCC2の機能異常が認められること、またそのメカニズムにバゾプレシン受容体V2シグナルが関与していることを明らかにしている (Sakai, Shibata, BBRC 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患モデルにおける膜輸送体制御異常とその上流シグナルが明らかとなりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き現在進行中の研究を継続する。また、新たな細胞選択的制御メカニズムの同定を目指し、プロテオミクス解析を計画する。
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