2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規肺炎球菌ワクチンのNKT細胞を介する抗体産生誘導及び感染防御の持続機構の解明
Project/Area Number |
19H03705
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
金城 雄樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20570831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林崎 浩史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50779907)
高塚 翔吾 国立感染症研究所, 真菌部, 研究員 (90609398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺炎球菌感染症 / ワクチン / NKT / 糖脂質 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎球菌は日本人の主な死因である肺炎や,小児及び成人の髄膜炎の主な起炎細菌である。私達は新規肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンの免疫応答および感染防御効果を解析している。その中で、本ワクチンにより濾胞性ヘルパーNKT(NKTfh)細胞という特徴的な細胞集団が誘導され、肺炎球菌感染防御に重要な抗体の産生誘導および持続をもたらすことを示唆する結果を得た。本研究では、新規肺炎球菌ワクチンによる抗体の産生誘導および感染防御効果の持続機構の解明を目的として、NKTfh細胞を介したB細胞の抗体産生の誘導および持続機構を解析した。
NKTfh細胞の分化に重要なマスター因子について検討を行い、候補となる因子をNKT細胞特異的に欠損したマウスを樹立した。その遺伝子欠損マウスとコントロールマウスに、肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンを免疫し、リンパ節でのNKTfh細胞の分化および胚中心B細胞の誘導についてフローサイトメトリー解析を行った。その結果、NKT細胞特異的にその因子を欠損したマウスでは、NKTfh細胞の分化が障害されたことより、NKTfh細胞の分化に重要なマスター因子であると考えられた。また、この遺伝子欠損マウスでは、胚中心B細胞の誘導が障害されたことから、NKTfh細胞が胚中心B細胞の誘導に重要であることを確認することができた。さらに、本ワクチンに用いた糖脂質と他のアジュバントのアジュバント活性の比較解析を行い、糖脂質のアジュバント活性の特性を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通り研究が進捗し、研究実績の概要に記載したように、有用な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. NKTfh細胞の分化や機能の発現に重要な因子の同定: RNAシーケンス解析結果や今年度の解析結果をもとに、NKTfh細胞の分化や機能に重要な役割を担う因子について、さらなる解析を行う。NKT細胞およびNKTfh細胞における候補因子の発現について、リアルタイムPCR、フローサイトメーターや共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析を行う。また、その因子の刺激または阻害効果などを解析することで、NKTfh細胞の分化や機能における、その因子の役割を解析する。
2. 糖脂質のアジュバント効果に関する解析: 今年度までの解析により、新規肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンにより抗体産生が誘導され、長期間持続することが示唆された。今年度に引き続き、糖脂質のアジュバント効果について、他のアジュバントとの効果の違いを解析する。胚中心形成の誘導、抗体産生の誘導および持続などについて、フローサイトメトリー解析、共焦点レーザー顕微鏡解析および走査型電子顕微鏡解析などを行う。
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Research Products
(5 results)