2020 Fiscal Year Annual Research Report
Attempt of segmentation of positive / negative factor and absolute evaluation of intra-tumor immunity
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19H03729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 尚 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (70243459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 永一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60408101)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (80273358)
牧野 知紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80528620)
岩堀 幸太 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (80566448)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 効果T細胞 / 免疫抑制因子 / MDSC / Treg / TAM / ImmunoGram / ImmunoScore |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織内免疫担当細胞・因子を、効果細胞側と免疫抑制側に大別し、さらに主にフローサイトメトリーを用いて分画化、分画ごとの多彩な機能を解析し、絶対的な強度を付与した各分画を集合させることで、最終的にがん種ごと、症例ごとのがん免疫の強さを総合的に絶対的に評価することを目的としている。 個人間・がん種間の絶対的評価に向けて、消化器癌、呼吸器癌、婦人科癌の症例・新鮮腫瘍組織を新たに集積し、すでに集積済みの検体なども使用可能にするための環境整備を行った。①T細胞を中心とした効果細胞とCD3、CD14、CD15陽性細胞中の抑制因子フローサイトメーター解析、②さらなる亜分画化への工夫としての次世代シーケンサーの応用、③各分画の抗原発現による機能解析、④各分画の更なる機能解析のための培養系の応用;抗原刺激による効果細胞誘導能、刺激培養によるサイトカイン・細胞傷害因子などの産生、遺伝子導入標的細胞に対する直接細胞傷害能、効果細胞との共培養による抑制機能測定、⑤東京大学・垣見教授による遺伝子的解析および東京医大・佐藤准教授による免疫組織学的解析による裏付け、⑥大阪大学・牧野先生による臨床データとの比較、を実施する。 多くの症例ごと、そしてがん種ごとに解析していく事で、絶対的な評価を行うため、個々の解析方法を適応していく。それらに先駆けて、絶対的評価の検討のため、PD-1経路阻害薬などの免疫療法を受けた治験症例においてこれら解析を実施し、その臨床効果と対比しうる包括的腫瘍免疫能評価方法を確定する。Nivolumab投与症例及び抗CCR4抗体投与治験症例の末梢血及び腫瘍組織内免疫細胞を用いた上記包括的解析を進めている。ただし、総合的免疫状態の同定のための評価の確立には更なる症例の集積が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に加えて、食道・胃・大腸癌を26症例、肺癌を11症例、卵巣癌23症例を追加、単年度の目標症例数については達成している。当教室の液体窒素保存検体も解析対象に加えることで、目標としている症例数200に向けては順調に進展している。1症例の腫瘍内浸潤細胞から、フローサイトメトリーを用いて、腫瘍重量当たりの浸潤細胞数と頻度、免疫チェックポイント分子を中心とした抗原発現、無刺激でのIFNg産生頻度、CD3/28あるいはPMA/ionomycin刺激による分裂能・各種サイトカイン産生能、パーフォリン/グランザイム産生能、BiTE並びにCD3抗体発現細胞に対する細胞傷害能についてデータを集積している。一方、免疫抑制細胞側では、末梢血PBMCから、CMVやMART-1抗原ペプチドを用いた抗原特異的反応性細胞誘導能に対する抑制効果を評価可能な測定系を構築し、活性化Tregを中心に抑制機能を評価中である。活性化Tregについては、新規マーカーのCCR8を用いた分画化を行い、腫瘍内浸潤CCR8陽性TregとCCR8陰性Tregについて、両分画の抑制機能の違いについて情報を集積している。 食道癌の腫瘍内免疫微小環境評価として、免疫染色法を用いたイムノスコア評価も実施し、術前無治療コホート300例の切除標本並びに術前化学療法治療後コホート146症例の切除標本を用いて,腫瘍中心部および辺縁部のそれぞれでCD3T、CD8T陽性細胞数を測定し総合スコアの算出を完了した。全症例、進行症例に分類し、予後との相関を解析中である。なお、食道癌については、術前化学療法前の切除標本を対象とした多重蛍光免疫染色を用いた解析も実施し、術前化学療法の非奏効群と奏効群間でのCD163陽性またはCD206陽性M2マクロファージの浸潤量と予後との相関についても解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
各種免疫担当細胞群に関し①頻度・細胞数(腫瘍重量当たり)、②PD-1、Tim-3、Ki67などのチェックポイント分子を中心とした各種抗原発現、③疲弊マーカーとしてTOX発現 ④NK細胞の亜分画として腫瘍組織浸潤細胞のILCサブセットの頻度⑤IFNg産生頻度、⑥CD3/28抗体刺激あるいはPMA/ionomycin刺激による分裂能・各種サイトカイン産生能・パーフォリン/グランザイム産生能、⑦CMVやMART-1・NY-ESO-1抗原ペプチドなどを用いた抗原特異的反応性細胞誘導能の測定、⑧我々が独自に開発した、BiTEを用いた、あるいはCD3抗体遺伝子導入した標的細胞に対する細胞傷害能を解析する。一方、免疫抑制細胞側では、①CD25、CD14、CD15陽性細胞群の分画化、②CD11b、HLA-DR、CD33、CD206、CD25、Foxp3、ICOS、CTLA-4に対する抗体などを用い、その亜分画であるM-MDSC、G-MDSC、TAM、活性化Tregなどを観察、③各分画の抑制あるいは活性能を上述したT細胞機能アッセイ系に付加することで観察、④シングルセルRNAシークエンス法を用いた細胞傷害活性能の高い腫瘍内浸潤NK細胞の同定を試みる。可能な限り同一症例でのこれらアッセイ系を横並びで実施し、得られる結果の信頼性の確立を目指す。コントロールに、胃癌症例へのニボルマブ投与前後での末梢血を用いその臨床効果などと対比させることも実施する。 東京大学・垣見により遺伝子学的に、「ImmunoGram」解析に加え、新たにTCRレパトア解析やシングルセルトランスクリプトーム解析を導入し、腫瘍内の免疫抑制性の環境に関わる細胞ネットワークの統合解析系を構築する。また、東京医科大学・佐藤により組織学的に種々の腫瘍組織内浸潤免疫担当細胞の頻度を解析し、我々のFACSを中心とした結果との整合性を図る。
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