2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dysregulation of tissue homeostasis by cellular senescence in pathogenesis of aortic dissection
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19H03743
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
青木 浩樹 久留米大学, 循環器病研究所, 教授 (60322244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 久留米大学, 医学部, 教授 (70197466) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / 細胞老化 / 細胞増殖 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈解離は突然発症し生命を脅かす疾患であるが、緊急人工血管置換術以外に積極的な治療法はない。大動脈壁へのストレスが破壊性炎症を引き起こすとされるが、分子病態には未だ謎が多く診断や治療には結びついていない。 申請者は解離発症前、発症、発症後の進行について検討可能なマウスモデルを開発し、病態解明を進めた。 細胞増殖刺激経路を検討するために、EGF受容体阻害薬ゲフィチニブとmTOR阻害薬ラパマイシンをマウス解離モデルに投与した。サイクリンD3とKi67の発現で細胞増殖応答を観察した。サイクリンD3、Ki67ともに正常大動脈では検出されなかったが、解離刺激で検出された。ゲフィチニブとラパマイシンはいずれも解離刺激によるサイクリンD3発現を抑制し、その抑制効果はラパマイシンの方がゲフィチニブより強かった。ラパマイシンは解離刺激によるKi67発現をほぼ完全に抑制したが、ゲフィチニブによる抑制は明らかではなかった。ラパマイシンは解離発症をほぼ完全に抑制したが、ゲフィチニブは解離発症を抑制しなかった。 細胞老化応答が解離病態に関与するとの仮説に基づき、細胞老化関連βガラクトシダーゼ(SA-βgal)活性染色およびInk4a/Arf発現を検討した。SA-βgal活性は正常大動脈では検出されなかったが、解離刺激後の大動脈では外膜および外膜に近接した中膜で検出された。同様にInk4a/ArfのmRNA発現は正常では検出されなかったが、解離刺激後の大動脈で検出された。Ink4a/Arf遺伝子のタンパクレベルの産物を免疫染色で検討したところ、解離部位および近傍の中膜でArfが発現していた。ウェスタンブロッティングで検討したところ、解離刺激前にはArf発現は認められなかったが、刺激の3日目からArf発現が認められ解離発症後の14日目では強い発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って大動脈解離組織における細胞増殖応答と細胞老化応答の検討を行った。マウス解離モデルにおける細胞増殖経路を検討するためにEGF受容体阻害薬ゲフィチニブとmTOR阻害薬ラパマイシンをマウス解離モデルに投与した。ラパマイシン感受性のmTOR経路が解離における細胞増殖応答に重要であるとの結果を得た。大動脈解離と細胞老化応答の時間的、空間的関連を検討するために、細胞老化マーカーとして細胞老化関連βガラクトシダーゼ(SA-βgal)活性染色およびInk4a/Arf発現を検討した。これらの細胞老化マーカーはいずれも正常大動脈では検出されなかったが、解離刺激後3日目(解離発症前)から検出され、7日目には発現が上昇し、14日目(解離発症・進展期)にはさらに顕著に検出された。これらの知見は本計画の仮説に合致するものであった。また、細胞老化と解離部位との時間的、空間的関連が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞老化応答と解離発祥の関連を明らかにしていく。具体的には、老化細胞除去薬ABT263をマウス解離モデルに投与して効果を検討する。ABT263はBcl2ファミリー阻害薬であり、抗アポトーシス経路を阻害することで老化細胞をアポトーシスに導くことで組織から除去する。主に腫瘍研究の領域でマウス生体内で老化細胞を除去できることが報告されている。まず既報に従って50 mg/kg/dayのABT263をマウスに投与し、細胞老化マーカーArf発現を検討する。前年度の実験によりArfは正常大動脈では発現しないが、解離刺激後7日目には発現することを確認済みである。Arf発現に対する効果を定量解析することにより、ABT263の投与プロトコールを最適化する。ABT263の効果をSA-βgal活性染色でも検証する。最適化されたABT263のプロトコールで解離発症に対する効果を検証する。 前年度の実験から解離モデルにおける細胞増殖応答ではラパマイシン感受性mTOR経路が重要であることが明らかになった。ラパマイシンが細胞老化応答に及ぼす影響をSA-βgal活性染色およびArf発現で検討する。
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[Journal Article] High Salt Intake Worsens Aortic Dissection in Mice2020
Author(s)
Nishida Norifumi、Aoki Hiroki、Ohno-Urabe Satoko、Nishihara Michihide、Furusho Aya、Hirakata Saki、Hayashi Makiko、Ito Sohei、Yamada Hiroshi、Hirata Yuichiro、Yasukawa Hideo、Imaizumi Tsutomu、Tanaka Hiroyuki、Fukumoto Yoshihiro
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Journal Title
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
Volume: 40
Pages: 189~205
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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