2020 Fiscal Year Annual Research Report
プレホスピタルでの心肺蘇生時における脳内酸素飽和度の推移に基づいた脳循環の解明
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19H03758
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60278687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 良介 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30759577)
射場 治郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40570536)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
酒井 智彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50456985)
舘野 丈太郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (50747152)
廣瀬 智也 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (70597509)
大西 光雄 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70597830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心肺蘇生 / 脳酸素飽和度 / 病院前診療 / HAND ai TOS / 救命士 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年5月から大阪市消防局との共同研究を開始した。我々が独自に開発した携帯型脳酸素飽和度(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を用いて、心肺停止患者におけるrSO2連続測定を、救急隊員が現場から開始した。2021年3月の時点までに94例での測定を終了し、その中から、データ欠落のない87症例での心肺蘇生中のrSO2推移のパターンを①上昇40例と②プラトー47例の2通りに大別した。多変量解析を行った結果、rSO2上昇群では、病院前自己心拍再開率と病院到着時生存率が有意に高いことが明らかになった(Resuscitation Plus 2021)。 2017年4月より、SpO2が測定不能である患者に対してrSO2測定の有用性を検討する研究を開始した。2021年3月の時点で17例のデータが得られており、rSO2測定は呼吸・循環に問題がある患者の、脳の危機的状況をどんなモニターよりも素早く簡単に評価できる可能性が高いと考えられた。 我々は、『2分毎のリズムチェックは本当に必要なのか?』を実証する多施設研究(Triple CPR 16 study)を2017年1月より開始し、2020年3月に無事終了した。現在一流英文雑誌に投稿中である。2020年度は、Triple CPR 16 studyの症例(2017年1月~2019年7月)を介入群とし、2019年9月以降に従来の心肺蘇生法を行った症例を従来群として、両群の自己心拍再開の割合を比較検討する前向き研究を行っている。同等性/非劣勢を示すには大規模研究が必要だが、脳rSO2の変化を指標とすることでリズムチェックの回数を減らせる可能性があることを2020年11月の救急医学会総会シンポジウムで発表した。 2020年度はCOVID-19の関係で国際学会での発表は全く行えておらず、国内(日本救急医学会、日本臨床救急医学会、等)でのみ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に掲げた研究目標は、次の3点である。【1】救急隊員が患者に接触した時点から病院へ搬送するまでの脳内酸素飽和度(rSO2)推移のパターンと脳酸素需給との関連を明らかにする。【2】経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が測定困難な患者では脳内rSO2の測定が患者の脳酸素需給把握に非常に有用であることを明らかにする。【3】現在進行中の多施設研究(Triple CPR 16 study)で心肺蘇生時の2分ごとのパルスチェックが必ずしも必要ではないことを明らかにする。 【1】87症例での心肺蘇生中のrSO2推移のパターンを①上昇40例と②プラトー47例の2通りに大別して多変量解析を行った結果、rSO2上昇群では、病院前自己心拍再開率と病院到着時生存率が有意に高いことを明らかにした(2021年2月にResuscitation Plusに採択)。 【2】心肺停止患者だけではなく、『パルスオキシメーターが正確な値を表示できない低酸素状態に陥っている重症心不全や重症呼吸不全の患者』で、rSO2を積極的に測定している。『SpO2が測定できなかった原因』を病態と突き合わせて、『呼吸・循環に問題がある患者では、rSO2測定を必須とすべきである』との啓蒙を救急関連学会で展開している。 【3】『2分毎のリズムチェックは本当に必要なのか?』を実証する多施設研究(トリプルCPR16)を2020年3月に無事終了した。現在一流英文雑誌に投稿中である。2020年度は、Triple CPR 16 studyの症例(2017年1月~2019年7月)を介入群とし、2019年9月以降に従来の心肺蘇生法を行った症例を従来群として、両群の自己心拍再開の割合を比較検討する前向き研究を行っている。 以上のように、COVID-19の関係で国際学会での発表は全く行えていないが、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度及び2020年度に掲げた研究目標は、次の3点である。【1】救急隊員が患者に接触した時点から病院へ搬送するまでの脳内酸素飽和度(rSO2)の推移のパターンと脳酸素需給との関連を明らかにする。【2】経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が測定困難な患者では脳内rSO2の測定が患者の脳酸素需給把握に非常に有用であることを明らかにする。【3】現在進行中の多施設研究(Triple CPR 16 study)で心肺蘇生時の2分ごとのパルスチェックが必ずしも必要ではないことを明らかにする。 2021年度は、【1】に関しては、携帯型(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を保持している大阪市消防で更なる症例の集積を図る。また、rSO2が漸減していくパターンを詳細に解析するため、病棟で自然死する場合のrSO2減少パターンを測定して比較検討する。【2】に関しては、携帯型(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を保持している上記の各消防隊が、心肺停止患者だけではなく、『パルスオキシメーターが正確な値を表示できない低酸素状態に陥っている重症心不全や重症呼吸不全の患者でも、rSO2を積極的に測定する。【3】に関しては、『2分ごとのパルスチェック』群と『16分間連続胸骨圧迫』群に有意差は認められなかったので、『2分毎のリズムチェックは必ずしも必要でないことを』を明らかにするための非劣性試験に取り組む。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Pre-hospital portable monitoring of cerebral regional oxygen saturation (rSO2) by ambulance personnel during cardiopulmonary resuscitation: A prospective observational analysis of 87 cases in Osaka city, Japan2021
Author(s)
Tomohiko Sakai, Tomoya Hirose, Tadahiko Shiozaki, Ryosuke Takagawa, Mitsuo Ohnishi, Sumito Hayashida, Shinji Shigematsu, Keiichi Satou, Yasunori Takemoto, Takeshi Shimazu
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Journal Title
Resuscitation Plus
Volume: 6
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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