2019 Fiscal Year Annual Research Report
進行性前立腺がんにおける転写因子OCT1の治療抵抗性獲得機序の解明とその臨床応用
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19H03793
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大日方 大亮 日本大学, 医学部, 助教 (20624886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
高橋 悟 日本大学, 医学部, 教授 (50197141)
高山 賢一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50508075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新規OCT1標的遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまでの一連の研究で、前立腺がん進行の中核をなすアンドロゲン受容体(AR)シグナル経路に重点をおき、1)転写協調因子OCT1によるAR協調作用と進行への関与、2)新規AR標的遺伝子群による前立腺癌増殖促進作用、ならびに3)前立腺がん細胞増殖抑制効果のある中分子ポリアミド製剤の開発を世界に先駆けて報告している。本研究はこれら研究をさらに発展させ、患者由来多剤耐性前立腺がん培養システムを駆使して進行性前立腺がんにおける転写協調因子OCT1を中心としたARシグナル経路を探求し治療抵抗性獲得機序を解明する。これに対し、本年度はOCT1のシグナル経路の解明に焦点を当てた。私たちはこれまでOct1とARのクロマチン免疫沈降(ChIP)シークエンスを世界に先駆けて行ってきており、今回患者由来モデル系においてもOCT1がARと協調もしくは単独で遺伝子結合領域に結合し、標的遺伝子群が発現する経路について明らかにするため、私たちが培ってきた技術を利用し、多剤耐性CRPC組織由来のpatient derived xenograft (PDX)2株を用いてARならびにOCT1抗体によるChIPと次世代シークエンサーにて網羅解析を行った。結果として、OCT1が結合する遺伝子領域は、同一症例からの樹立であっても転移巣間で大きく異なりOCT1が標的とする遺伝子群が転移巣によって変化することが示唆された。現在、結合領域をマッピングし標的の可能性が高い遺伝子を抽出し、同検体から既に得られているRNAシークエンスの結果と照合して現在重要な遺伝子を選定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
条件検討に時間を費やしたが、本年度において、一番重要な実験であるChIPシークエンスが実行できたため。しかし、得られた結果の解析に予定より多くの時間を費やしている。
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Strategy for Future Research Activity |
CHIPシークエンスの膨大なデータ量をとりまとめ、研究分担者間での定期的なミーティングで解釈について議論する。進行に関与する遺伝子群を研究ミーティングにより決定した後、入手可能な複数の前立腺癌細胞とも比較して発現レベルを検討し、個々の遺伝子の分子生物学的な解析へと進む。
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