2020 Fiscal Year Annual Research Report
舌苔マイクロバイオームの管理に基づく新たな慢性呼吸器疾患予防アプローチの構築
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19H03863
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 幸一郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60325462)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 舌苔 / マイクロバイオーム / COPD / 16S rRNA / 呼吸器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は九州大学病院における口腔常在微生物叢の採取調査を行った。呼吸器難病コホート研究に参加し経過観察が行われている慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者から研究参加への同意を取得し、舌苔および唾液検体を採取した。ビーズ破砕法を用いて採取した唾液および舌苔検体から微生物群集DNAを抽出したのち、16S rRNA遺伝子V5領域をターゲットとした定量PCR法を用いて検体に含まれる総細菌量を決定した。またPCR法を用いてDNA検体に含まれる細菌16S rRNA遺伝子V1-V2領域を網羅的に増幅・回収し、次世代シーケンサーIon PGMを用いて塩基配列を決定した。取得した塩基配列は解析ソフトウェアDADA2を用いて解読エラーの補正を行ったのち、ヒト口腔細菌DNAの塩基配列を網羅したexpanded Human Oral Microbiome Databaseに相同性検索を行うことで各検体に含まれる細菌構成を決定した。取得した検体に環境由来の細菌の明らかな混入がないことを確認したのち、過去に分析を行った地域住民の舌苔・唾液細菌叢の細菌量および構成との比較した。続いて2つの研究協力施設において対象者の登録を開始した。また福岡県久山町で過去に行われた生活習慣病健診に参加した地域住民の唾液微生物叢とその後のCOPD発症との関連を明らかにするため、保管されている微生物叢DNA検体について16S rRNA遺伝子V5領域をターゲットとした定量PCR法を用いて各検体の総細菌量を決定した。加えて一部の検体についてELISA法を用いてIgA、リゾチーム等の濃度を測定し、口腔常在微生物叢と唾液中の抗菌成分との関連について検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルス感染症蔓延による研究協力施設での感染防御対応により口腔検体の採取調査を一時的に中断せざるを得ない状況となったことから補助金の一部を翌年度へ繰越するとともに対象者の登録を当初の予定よりも後ろ倒しした。そのため口腔検体の採取調査は当初の計画より遅れることとなった。それでも感染状況の改善後3つの協力施設で調査を開始し、取得した検体の細菌量や細菌構成についても分析を進めることができた。また過去の研究で採取した唾液検体の微生物群集解析および唾液成分解析とCOPD発症との関連についての検証については順調に進行した。このような状況から本研究は当初の計画よりはやや遅れてながらも進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は呼吸器難病コホートにおける検体採取を継続し完了する。さらに対象者に関する情報を取得したのちデータセットを作成し、コホート対象者内での口腔常在微生物叢と肺機能との関連を検証する。また地域住民のなかからコホート対象者と年齢、性別等をマッチさせた対照群を抽出し、両者の細菌量および構成の比較を行う。加えて地域住民の唾液検体の成分分析を進めるとともにこれまでの口腔微生物叢に関する分析結果を用いてその量および細菌構成とCOPD発症との関連の検討を行う。
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