2020 Fiscal Year Annual Research Report
可逆性を重視した新規フレイル改善プロクラムの地域実践型モデル開発と検証
Project/Area Number |
19H03896
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯島 勝矢 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (00334384)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏明 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40248670)
孫 輔卿 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任講師 (20625256)
高橋 競 獨協医科大学, 医学部, 講師 (60719326)
田中 友規 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (30750343)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | フレイル / サルコペニア / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フレイルの可逆性を重視した改善プログラムを開発・実証することで、既にフレイルを有する高齢者を含む全高齢者の健康状態の底上げに資する知見を得ることである。研究初年度では、既存の観察研究データを二次利用することで、地域在住高齢者のフレイルあるいはプレフレイルからの「6年間の改善率と改善要因」を同定した。研究2年度(2020年度)は、当初予定していた大規模コホート縦断追跡調査(柏スタディ)の第6次調査を実施予定であったが、COVID-19問題により実施困難であった。同時に、この蔓延防止を目的とした活動自粛要請が高齢者のフレイルを進行させ、改善をより困難なものとすることが懸念された。よって、研究代表者らが複数自治体で推し進める地域活動「住民主体のフレイルチェック」にて収集されたコロナ禍前後データを二次利用することで、コロナ自粛による高齢者のフレイル悪化に与えるエビデンスを創出した。具体的には、(1)コロナ禍で閉じこもり傾向となった高齢者における、運動・食生活・社会参加の多分野における負の影響、(2)コロナ禍での前後比較において実際の骨格筋量(特に体幹部分)、握力、口腔巧緻性も低下傾向(すなわち生活不活発による現象)、これらの知見を論文化した。 さらに、最終年度の調査実施に向けた準備を進めながらも、コロナ禍におけるフレイル進行(いわゆるコロナフレイル)に対して、既存データの二次解析による検討を中心に行った。結果として、コロナ禍において、初年度明らかにしたフレイルの改善要因である栄養・運動・社会参加の実施に大きく悪影響が現れておりによる、フレイルの進行が加速している可能性が強く示唆された。これらの新知見を加味すると、コロナ禍こそ、栄養・運動・社会参加の3要素の複合的な介入が重要である可能性が考えられ、最終年度の実践につなげていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、あらゆる自治体で実施可能なフレイル改善プログラムのデファクトスタンダード(基盤)を構築することを目指している。本研究計画では、初年度(2019年度)から最終年度(2021年度)までの3年間で、(1)フレイル状態から改善した者の身体的/心理的/社会的特性や改善機序を詳細に明らかにし、(2)研究からの知見と学際的議論を通して幅広い対象に実施可能なフレイル改善プログラムを開発、(3)そのプログラムの効果や妥当性を多角的に検証した上で地域活動に導入する予定である。 研究2年度目である本年度の計画では、大規模コホート縦断追跡調査(柏スタディ)の第6次調査を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い実施が困難であった。そこで、調査実施に向けた準備を進めながらも、本年度は研究代表者らが複数自治体で推し進める地域活動「住民主体のフレイルチェック」にて収集されたコロナ禍前後データを二次利用することで、活動自粛要請が高齢者のフレイルに与える影響を検討した。 結果として、コロナ禍による生活不活発が、フレイルの改善要因と目される栄養・運動・社会参加の実施に悪影響が現れているだけでなく、フレイルの進行が加速している可能性を明らかとした。これらの新知見の活かし方も含めて、多分野の研究従事者らがステアリングコミッティを定期開催したことで、コロナ禍こそ、フレイルの進行防止およびフレイルからの改善に向けても栄養・運動・社会参加の複合的な実施が重要である可能性が考えられる。以上より、調査実施は困難であったものの、本年度調査は概ね順調に進展しており、最終年度の更なる発展につなげていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度は以下2つの活動を実施する予定である。
(1)フレイル改善者の身体、精神・心理、社会的特性の探索とその機序解明: 2021年度以降は既存データ分析から得られた結果を基盤として、2020年度に実施予定であった大規模コホート研究の更なる追跡調査を実施する。特に、栄養・運動・社会参加の実施を詳細に調査し、フレイル改善に資する栄養・運動・社会参加の更なる特性の検討と、フレイル改善の中核となる身体的、精神・心理的、社会的な特性と影響を特定、その機序を明らかにする。
(2)幅広い対象者に実施可能なフレイル改善プログラムの効果検証: 2020年度までに実施した大規模コホート縦断追跡データベースやコロナ禍前後のフレイルチェックデータベースの解析により明らかになった知見を基に、フレイルからの改善に向けても栄養・運動・社会参加の複合的な実施が有効である可能性が考えられた。最終年度は研究代表者らが複数自治体で推し進める地域活動「住民主体のフレイルチェック」の一部自治体にて実践されている栄養・運動・社会参加の複合的なプログラムの効果検証を実施する予定である。
|
-
-
[Journal Article] Societal Need for Interdisciplinary Ageing Research: An International Alliance of Research Universities “Ageing, Longevity and Health” Stream (IARU-ALH) Position Statement2021
Author(s)
Cherbuin N, Iijima K, Kalula S, Malhotra R, Rasmussen LJ, Chan A, Lafortune L, Harper S, Zheng X, Lindeman D, Walsh E, Hussain R, Burns R, Kristiansen M, Sugawara I, Son B, Tanaka T, Buckner S, Hoffman J, Combrinck M.
-
Journal Title
Biomedicine Hub
Volume: 6
Pages: 42~47
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
[Journal Article] COVID‐19 and older people in Asia: Asian Working Group for Sarcopenia calls to action2020
Author(s)
Lim WS, Liang CK, Assantachai P, Auyeung TW, Kang L, Lee WJ, Lim JY, Sugimoto K, Akishita M, Chia SL, Chou MY, Ding YY, Iijima K, Jang HC, Kawashima S, Kim M, Kojima T, Kuzuya M, Lee J, Lee SY, Lee Y, Peng LN, Wang NY, Wang YW, Won CW, Woo J, Chen LK, Arai H
-
Journal Title
Geriatrics & Gerontology International
Volume: 20
Pages: 547~558
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-