2019 Fiscal Year Annual Research Report
在宅医療を支える看護判断を導くAI構築と拡張知能(EI)の活用
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19H03965
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
葛西 好美 東京情報大学, 看護学部, 准教授 (70384154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 孝泰 東京情報大学, 看護学部, 教授 (40214613)
村上 洋一 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (20548424)
大石 朋子 (大塚朋子) 東京情報大学, 看護学部, 講師 (40413257)
豊増 佳子 東京情報大学, 看護学部, 講師 (60276657)
伊藤 嘉章 東京情報大学, 看護学部, 助教 (60804870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 訪問看護 / 臨床判断 / AI技術 / 拡張知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、訪問看護師の経験知が反映された、臨床判断に必要なデータをデータベース化し、AI技術(人工知能)による判断と、訪問看護師の臨床判断(拡張知能:Extended Intelligence)を融合させ、訪問看護師の臨床判断を支援するためのシステムを創生することを目的としている。2019~2021年の3ヶ年で、訪問看護の臨床判断に必要なデータを収集し、AI(機械学習)による判断と訪問看護師の臨床判断(拡張知能:EI)とを融合させた、訪問看護師の臨床判断支援アプリを開発し、それを用いたシステムを構築する。 本年度においては、臨床判断支援アプリ作成に向け、訪問看護の臨床判断に必要なデータを得るために、全国訪問看護事業協会に所属する訪問看護ステーションに勤務し、訪問看護経験5年以上の研究同意の得られた訪問看護師を対象に反復型調査・検討を行うためのインタビュー調査を行った。得られた回答をもとに、臨床判断のプロセスを記述し、テキストマイニングツールを用いたテキスト分析を行ってコード化し、拡張知能の基本要素とするための臨床判断に関するカテゴリー属性を明らかにした。さらにコード化されたカテゴリー属性を統計的に集約し、その特徴量検出に着手している。拡張機能の基本要素となる訪問看護師の臨床判断に関するカテゴリー属性として、「直観的な認識」、「状況認識」、「訪問看護の必要性」等を抽出した。これらのカテゴリー属性を基にして、訪問看護師が認識した情報から臨床判断内容を特定するためのアルゴリズムを構築し、膨大な訪問看護師の認識および判断内容のデータの理解や、データに潜む要因関係の可視化、臨床判断を行う際の現状把握および状況変化に応じた予測ができるように、訪問看護師の臨床判断を支援するためのシステムを創るためのアプリ開発に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、訪問看護師の経験知が反映された、臨床判断に必要なデータをデータベース化し、AI技術(人工知能)による判断と、訪問看護師の臨床判断(拡張知能:Extended Intelligence)を融合させ、訪問看護師の臨床判断を支援するためのシステムを創生することを目的とし、以下の達成目標を設定している。 1.訪問看護師の臨床判断に必要なデータをデータベース化し、AI技術を用いた判断支援アプリケーション構築による経験知の蓄積 2.AI技術による判断に加え、訪問看護師の臨床判断(EI)を融合させることにより、訪問看護師の臨床判断を支援するためのシステム構築 3.判断支援アプリ活用によるシステムの評価と教育プログラムの検討 1の訪問看護師の臨床判断に必要なデータベース化において、当初は反復型・検討のためのデルファイ法の実施を計画していたが、熟練訪問看護師を対象としたインタビューデータを、テキストマイニングツールの使用による分析および熟練看護師への分析結果の確認により、分析の信頼性と妥当性の確保が可能と判断し研究方法を変更した。テキスト分析で得られたカテゴリー属性を用いて、抽出した臨床判断に関する確率的な因果関係を可視化し、確率のシミュレーションにより、現状把握および、与える条件を変えることによる影響を予測し、臨床判断の効果を事前に把握するためのAIツールを選定し、臨床判断支援アプリケーション構築を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床判断支援アプリケーションの試用と妥当性の検討、アプリ活用によるシステムの評価と教育プログラムの検討を実施する。 臨床判断支援アプリケーションの試用と妥当性の検討において、訪問看護に必要なデータ収集を簡便に実施でき、AIに反映される学習要素と、それらに結びつくビッグデータをタブレット・アプリケーションで展開可能となるように開発する。集積した訪問看護対象者に関する情報を看護援助に応用するため、AIによる判断と、実際の訪問看護師による拡張機能(EI)との融合を基に臨床判断を行うシステムを構築する。融合システムの検証は、実際の訪問看護を模したシミュレーションにより、実際のケアから導き出した訪問看護師による臨床判断(EI)と、訪問看護師が認識した情報を入力し特定されたAIによる判断を比較・検討し、アプリの妥当性を検討する。また、研究代表者の所属大学内に併設している訪問看護ステーションに所属し、基礎的な情報教育を受けている研究同意の得られた訪問看護師に、訪問看護を行う際にアプリの活用を依頼し、その結果も踏まえ、訪問看護師の臨床判断を支援するシステムの利便性、効率性を評価する。 さらに、訪問看護師がこのシステムを検証および活用するためには、情報に関する教育と能力を向上させるための教育プログラムの開発が求められる。そのため、訪問看護師に必要な情報に関する教育内容、情報に関する能力を高めるための方策を検討する。
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