2022 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸感覚モジュレーションを応用した間質性肺炎予後改善呼吸リハビリテーションの開発
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19H03984
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老原 覚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90323013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 呼吸困難 / 咳衝動 / メンソール |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸器疾患のリハビリテーション医療における運動療法推進の主たる阻害因子は、運動により誘発される呼吸に基づくの不快な感覚である「呼吸関連不快感」である。「呼吸関連不快感」には主として2つある。その一つは「呼吸困難」でもう一つは「咳衝動」である。呼吸リハビリテーションの効果を上げて継続するためには、「呼吸関連の不快な感覚」である「呼吸困難」及び「咳衝動」を制御しながら運動療法を行うことが重要になってくる。この「呼吸困難」及び「咳衝動」はそれを感知する大脳皮質の感覚野にオーバーラップする部分が多く、上位中枢に作用機序を持つ「呼吸関連不快感」のどちらか一方の緩和法は、もう一方の「呼吸関連不快感」をも緩和する可能性がある。その観点から私たちは様々な「呼吸関連不快感」緩和法を見出してきた。そこでの「咳衝動」緩和法は呼吸リハビリテーションに役立つのみならず、咳嗽に携わる診療科の日常診療においても役立つ可能性があると考える。呼吸リハビリテーションの運動療法の制限因子は呼吸困難と咳嗽である。呼吸リハビリテーションの効果を高めるためにはこれらを緩和する方策を包括しながら運動療法を行うことが重要である。そこで呼吸困難・咳衝動の神経経路に修飾を加える方法(呼吸感覚モジュレーション法)を開発し、呼吸リハビリテーションに応用してきた。胸壁バイブレーションが呼吸困難と咳衝動を同時に抑制することを報告し、呼吸リハビリテーションにおいて物理療法を併用して包括的に行うことの重要性を初めて示した。さらにTRPM8 agonistメンソールの嗅覚刺激が呼吸困難を緩和することを運動時ならびにCOPD患者において証明し、この機序が顔面送風と共通していることより咳衝動の新しい緩和法を見出した。現在これらの呼吸感覚モジュレーション法の包括治療が、様々な疾患の呼吸リハビリテーションにおいて有効か検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病診連携・病病連携がうまく進行し、実臨床における呼吸器症状緩和法の実践にまでとりくめるようになってきた。研究からの知財も生まれ。特許申請し、現在商品化が進められておりきわめて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
呼吸リハビリテーションにおける症状緩和の有用性を主として一般的に示してきたが、リハビリテーションにおいてこれらをを包括することの重要性を、個々の疾患において実証していく予定である。すでにCOPDにおいては証明しているので、間質性肺炎のリハビリテーションにおける高齢者のエビデンスを世界で初めて明らかにし、患者教育を病棟看護師とともに包括的に行うきっかけをつくり、多職種連携の患者勉強会が毎年開催されるように努力する。また、栄養士との協力のもと、間質性肺炎におけるサルコペニアがQOLに与える影響を明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)