2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms underlying inequality in physical activity and the development of novel promotion strategies
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19H03996
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 真光 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (60523090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田栗 正隆 横浜市立大学, データサイエンス学部, 教授 (20587589)
安部 孝文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30794953)
松下 宗洋 東海大学, 体育学部, 助教 (20758594)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スポーツ・運動 / 身体活動 / ゲーミフィケーション / 行動変容 / 普及科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康格差は世界的な公衆衛生上の課題であり、身体活動・スポーツの実践についても、収入や学歴といった社会経済的要因による社会的な格差の存在が知られている。本研究は、①学際的コホート研究、②地域介入研究、③モバイルICT介入研究から構成され、身体活動量の格差を生み出すメカニズムを明らかにするとともに、格差を考慮した新たな普及戦略モデルの効果を検証する。 2年目の成果としては、まず、①学際的コホートのデータを用いて、身体活動・座位行動などの生活習慣や体力・身体機能の格差がどのような社会経済・環境要因によって生み出されているのか多角的に分析を進め、論文執筆を進めた。一部は論文として既に公開されている。次に、②地域介入研究として、クラスター・ランダム化比較試験(RCT)の長期追跡データを用いて、多面的地域介入によって低SES層(低学歴等)においても身体活動が普及できたのか、社会経済的要因により介入効果に違いが見られなかったかを検証した。本年度は、これまでに取得されたデータの整理・分析を進め、格差勾配指数の算出などが完了した。並行して、協力自治体での全市介入実施(普及プロジェクト)を通年で継続支援した。③モバイルICT介入研究では、ファン心理を活用したゲーミフィケーション・アプリが様々な社会経済的背景の人々の身体活動を促進するか検証した。本年度は、累積6万ダウンロード超となったアプリ利用者の大規模匿名データを整理し、身体活動量の全国規模の時系列変化の分析を進めた。また、モバイル・ウェブ調査を追加で実施し、長期効果検証の準備を進めた。 本研究は、公衆衛生学・行動科学など多様な学問を融合させ、普及戦略に関する既存の理論を発展させるとともに、頑強な因果推論デザインで検証するものである。次年度(最終年度)も引き続き、格差対策を進めるための科学的基盤を構築し、実社会での応用につなげていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目となる本年度は、一部繰越となった1年目の研究内容を追加で実施するとともに、COVID-19感染拡大の影響で研究実施環境が大きく変化したものの、幸いここまで予定通りのデータの取得や整理、分析が進み、現時点で重大な遅延はない。研究成果の発信として、学会における発表や講演の数は大きく減少したものの、執筆した論文の出版は一定数完了したほか、来年度以降の出版に向けて複数の論文執筆及び投稿を着実に進めることが出来た。また、プロジェクトに関連した受賞として、学術的立場から参画している「パ・リーグウォーク」が「第9回健康寿命をのばそう!アワード」厚生労働大臣優秀賞を受賞した(2020年11月30日)。社会実装を特長とする本研究の成果として象徴的な実績と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では計画通り順調に研究が進展しているため、今後も計画に基づき研究を推進する。
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