2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the coding principle of temporally complex sounds
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19H04212
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 哲史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90334812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30422942)
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (90361518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経回路 / 聴覚 / brain machine interface |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の実験を行った。 実験1:聴覚野の純音刺激に対する応答をフラビンイメージングによって可視化する方法を確立した。これによって同定した聴覚野サブ領域にretrograde AAV-Cre、内側膝状体にAAV9-FLEX-TVA-deltaG-GFPとEnvA-rabies-mCherryを注入することで、下丘⇒内側膝状体⇒聴覚野という2シナプス経路を可視化する実験系を確立した。現在25匹のデータを収集するに至った。 実験2:覚醒状態のVGAT-ChR2マウスからの細胞種同定電気記録を進めた。その結果、麻酔下における活動特性に比べて高い自発発火を下丘ニューロンが持つことが明らかとなった。また、麻酔下に比べて興奮性ニューロン、抑制性ニューロンともに低い閾値で音反応を示した。これらの結果から麻酔が下丘ニューロンの活動に大きな影響を与えることが判明したことから、BMI応用を射程に入れた実験における覚醒状態での活動パターンを解析の重要性が明らかとなった。 実験3および4:これまでに頭部固定状態のラットに対して,音刺激提示時のレバー引け行動に報酬を与えるオペラント学習の実験手法を確立してきた.このオペラント実験を利用して,内側膝状体の電気刺激が,聴知覚を生成することを動物実験で確かめた.40 μAの電流パルスを500 msに50回印加したところ,知覚を報告するレバー引き行動を認めた.このとき聴覚野の神経活動は,緩やかに増加した.これらの行動・生理反応は,10 μAの電流パルスでは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1:新しい実験系の導入と確立に成功し、すでに25例のデータを得ており、当初の計画以上に進展している。 実験2:VGAT-ChR2マウスからの安定した記録解析システムを確立できていることから、おおむね順調であると考える。 実験3および4:行動実験系と生理実験系が確立されたことからも,概ね順調に進んでいると言える。 以上、研究項目ごとに進度にやや違いが見られるが、どの項目についても特段の問題なく研究が推進していることから、「おおむね順調に進展している」と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1:次年度は刺激音として純音以外にスウィープFM音やホワイトノイズを追加し、これらに対して選択的に応答する聴覚野領域がないか検討し、その神経回路の可視化を図る。この際retrograde AAV-Creの注入をより限局する。これに加えて、作成済みの切片を用いて神経回路を構成する細胞種の同定する。さらに、これらのデータの解析を並行して行う。 実験2:次年度はリップル音を用いたSTRF解析によりさらに詳細な下丘ニューロンの音応答特性を明らかにしていきたい。また、記録電極を多極化することによる複数ニューロンからの同時記録方法に取り組んでいる。この技法によって局所回路内でのニューロンの活動の類似性や差異を明らかにすることにより下丘内での音情報符号化地図の作成がより効率化されることを期待している。 実験3:次年度は、意識にのぼる聴知覚に関連する神経反応に対して、さらなる解析を進める。具体的には,各測定点の神経活動の位相同調性や移動エントロピーに注目し、機械学習を用いて刺激音が推定可能であることを示す。位相同調性は複雑音符号化に重要な役割を果たしていると考えられる。移動エントロピーは、測定点間の神経活動の因果関係と運ばれる情報量を反映しており、神経回路の階層性を分析する上で有用である。
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Research Products
(16 results)