2020 Fiscal Year Annual Research Report
Water mass structure and primary productivity in the sub-Arctic seas revealed from dissolved organic matter and optical properties
Project/Area Number |
19H04250
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
平譯 享 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (70311165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋平 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50432224)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 水塊混合 / CDOM / FDOM / 光吸収 / 蛍光 / 基礎生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は10月までに「おしょろ丸」によって海洋観測を実施して、黒潮続流域から親潮・沿岸親潮域におけるCDOM・FDOMのデータを取得予定であったが、コロナウイルス感染拡大により海洋観測は中止となった。そのため、現場観測については次年度に延期し、CDOM試料の採取方法の検討や関連データの取得準備、および昨年度のデータ解析を行った。 CDOM試料採取方法として、これまではメンブランのディスクフィルターを用いていたが、カプセルフィルターによるサンプル取得方法を検討した。市販されている複数のカプセルフィルターで超純水(ミリQ水)を濾過し、その濾過水の吸光度を測定したところ、超純水製造装置用の採集フィルターを用いると、紫外領域においても汚染なくCDOMの吸収係数が測定できることを確認した。 昨年度のデータを取りまとめ解析したところ、仙台湾付近より外洋に向かって沿岸水が輸送されていることが示唆された。この沿岸水に含まれるCDOMが更に北側の三陸沖の水塊と混合する可能性があるため、仙台湾およびその付近の観測を実施することで、混合過程を評価できる可能性がある。また、過去のデータと昨年度のデータを取りまとめ、CDOMによる水塊分類アルゴリズムのプロトタイプを開発した。水塊分類に利用する波長帯は衛星で観測していない紫外領域である。そのため、海色衛星で観測している可視域のCDOM光吸収係数から機械学習を用いて、紫外領域で分類された水塊番号を推定するアルゴリズムとした。これにより、現場データを入力した場合に約70%の精度で水塊を正しく識別できた。このアルゴリズムにより、水平的かつ時間的に連続した水塊の変化を追跡可能となり、高い生産力を生み出す水塊の消長を衛星から判別できることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大により予定していた観測航海が実施できず、研究に必要なデータ得られなかった。しかしながら、衛星による水塊推定など、他の目的は比較的順調に進んでいるため「(3)やや遅れている」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
再度初年度と同様の航海にエントリーし、さらなるデータ取得を試みる。しかしながら、コロナウイルス感染の状況は予測できないため、海域が限られたとしても他の航海への参加も検討する。また、過去のデータを取りまとめるなどによる研究推進も検討する。アルゴリズム開発については、現場データの増加が見込めない場合、衛星データの調整や感度分析による不確実性の縮小を試みる。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 北太平洋における中層水循環に伴う外来性溶存有機物の輸送2020
Author(s)
山下洋平, 森雄太郎, 遠坂哲, 亀崎龍一, 後藤周史, 西岡純, 馬場梨世, 安田一郎, 藤尾伸三, 平譯享, 大井田穣示, 小畑元, 小川浩史
Organizer
JpGU 2020