2020 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸堆積物コアでの環境DNAメタバーコーディングによる近過去魚類群集の復元
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19H04284
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
土居 秀幸 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (80608505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境DNA / 堆積物 / 魚類 / 哺乳類 |
Outline of Annual Research Achievements |
堆積物コア試料による近過去の生態系情報の復元は、近過去の気候変動や地形変化、災害前後による生態系状態について考察し、生態系変動予 測に利用できる データを得ることができる有力な手法である。しかし、これまでの魚類に関する古海洋学的研究では、堆積物中で鱗が残るイワ シ類に限られ、その他の魚類群集 全体については復元する手立てがこれまでなかった。本研究では堆積物コア中に残存する環境DNAに着目する 。環境DNAとは環境中に含まれる様々な生物由来の DNA断片のことであり、これを採集し、解析することによって、環境中にどんな生物種が生息 しているかを明らかにすることができる。 今年度(2020年度)は、引き続き、別府湾最深部から堆積物コア試料を採取して、環境DNA解析を行った。この、海底堆積物を対象に哺乳類、真 菌類および真核生物の DNA をそれぞれ網羅的に増幅するユニバーサルプライマーを用いて 環境 DNA メタバーコーディングを行い、それらの種が実際に海底堆積物から検出できるこ とを確認した。濃縮により回収できる種数や種組成に大きな変化はなかったが、リー ド数は一定値を検出できていた。また、堆積年代の変化が DNA 組成の割合に反映されてい るか調べるために、サンプル間の類似度を元にクラスターに分類し、類別したグループごと に代表種の抽出を行った。結果として菌類と真核生物の対象 DNA 断片の両方から、柱状試 料の表層付近でのみ確認される群集を再現することができると考えられた。また、いずれ の分類群においても陸上種の DNA 断片を確認した。さらに、魚類については、堆積物から3倍の泥を 使って抽出をするなど抽出方法を検討し、定量メタバーコーディングの実験を行った。その結果、定量できるほどのDNAが得られることが予備的にわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特に魚類の定量メタバーコーディング手法を検討して、過去300年の定量的な魚類群集の復元を試みる。さらに、環境DNAと同時に、堆積物コア中に含まれる、 魚類のウロコなどについても測定を行う。これらの過去の生物群集データと環境データを用いて非線形モデリング、因果推論などと用いて変動要因を解析する。
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Research Products
(11 results)