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2019 Fiscal Year Annual Research Report

High-precision measurement of the production yield of 211-astatine by high-temperature superconducting SQUID beam ammeter

Research Project

Project/Area Number 19H04403
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

渡邉 環  国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任技師 (30342877)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsビーム電流計 / 高温超伝導 / SQUID / ビーム診断
Outline of Annual Research Achievements

最先端のがん治療薬として今注目を集めているアスタチン211(211At)の製造量を正しく見積もるためには、加速されたビーム電流の高精度な測定は極めて重要である。211At生成収量は、照射ビーム積算電流量に依存性を持つが、その測定結果は研究機関毎にばらつきがあるのが現状である。高温超伝導SQUIDビーム電流計により、生成収量の精度を大幅に向上することが本研究の目的である。
SQUIDとは、脳磁や心磁の測定に利用されている超高感度磁気センサーである。本研究では、(1)ビームが通過する際、マイスナー効果によって誘起される遮蔽電流を、効率よくSQUID入力コイルに伝達するため、新規に考案した高温超伝導ピックアップループを開発するとともに、(2)超伝導体による完全反磁性を利用した磁気シールド、の開発を行っている。
高温超伝導SQUIDビーム電流計の実用化には、新規に考案した高温超伝導ピックアップループの開発が重要となる。高温超伝導ピックアップループは、ビスマス系高温超伝導体(以下Bi2212と略)を銀基板上に溶融して製作する。当該年度では、高温超伝導超伝導体の性能向上を目指し、臨界温度と臨界磁場を改善するため、溶融過程の最適化の研究を行った。冷却プロセス中では、不活性ガスAr 雰囲気を保ち、酸素濃度のコントロールと、不純物層の析出を防ぐため、700 ℃からの急冷法を実施した。高温超伝導体の性能を、以下の測定から評価し、その最適化を行った。(1)走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた厚膜の表面画像の観察、(2)X線解析法によるBi2212 の結晶構造の解析(XRD)、(3)臨界温度と臨界電流を得るための磁気特性測定装置を用いた磁気モーメントの測定。この研究により、Bi2212は、臨界温度が92 K、臨界電流が約304 A/cm2の性能を得ることができ、従来の性能を大きく上回ることに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

Bi2212を銀基盤上に溶融する製作法に関して、冷却プロセスに於いて、不活性ガスAr 雰囲気を保ち、酸素濃度のコントロールと、不純物層の析出を防ぐため、700 ℃から急冷する手法により、臨界温度と臨界電流の改良に成功した。しかしながら、これらは5mm x 5mmの銀基盤上に形成した試料を測定して得られた結果である。直径Φ166 mm高さ33 mmの実機高温超伝導ピックアップループに形成するためには、700 ℃からの急冷法による工程は、火災・火傷などの危険性を伴うことが判明した。空気中での自然冷却法は、安全性が得られるが、高温超伝導体の機能として重要な臨界温度が液体窒素以下になってしまう。研究を進める中で、自然冷却では、超伝導体中での酸素濃度のコントロールができず、臨界温度と臨界電流が低くなる傾向が解ってきた。現在、自然冷却の溶融過程終了後に、Ar雰囲気中で酸素還元処理を行うことにより、超伝導体中での酸素濃度のコントロールを行う研究を進めている。還元温度と還元時間をパラメーターとして変化させ、Bi2212の臨界温度と臨界電流の測定を進めている。

Strategy for Future Research Activity

今後は、本研究課題を進めるために、実機の高温超伝導SQUIDビーム電流計で使用する、高温超伝導ピックアップループの完成を目指す。そのためには、銀基板上に最適な臨界温度と臨界電流を有するBi2212を溶融生成する手法を確立する必要がある。Bi2212を銀基板上に溶融・自然冷却によって生成した後に、Ar雰囲気中で酸素還元処理を行うが、その還元処理に最適な還元温度と還元時間を得るための研究を進める。一方、BI2212の溶融後に700 ℃からの急冷法は、製作上の安全性が得られるならば有力な製作方法の一つなので、継続して検討を進める。
高温超伝導体として銀基盤上にBi2212を溶融することを目指しているが、別の手法として、MgO基板上にBi2223を焼成する研究も並行して進めている。しかしながら、銀基板と違い、高純度のMgOは硬度が高く、高温超伝導ピックアップループ用として加工をする場合には、ダイヤモンドカッター等が必要であり難易度が高い。また、Bi2223の焼結後には、20気圧以上の水圧で冷間等方圧プレス作業が必須となる。焼成後の冷間等方圧プレス処理を行うためには、水圧によってBi2223にクラックが入らないような滑らかなMgO基盤の設計と、事前の予備試験が必要であり、現在その準備を進めている。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Remarks (1 results)

  • [Remarks] 仁科加速器科学研究センター 運転技術チーム

    • URL

      https://www.riken.jp/research/labs/rnc/accel/beam_dyn_diagn/index.html

URL: 

Published: 2021-12-27  

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