2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Body of Knowledge for Risk-Adaptive Regional Management Information System (RAISBOK) and its implementation guidance
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19H04412
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑山 満則 京都大学, 防災研究所, 教授 (10346059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 祥子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (00338203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害対応 / 知識体系 / システム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a)災害対応を支援する情報システムの開発・導入プロセスの分析 2019年度の分析に加えて、茨城県、大阪府枚方市における災害対応システムの開発・導入について調査し、成功要因、失敗要因に関する分析を行った。 (b)リスク対応型情報システム開発・導入プロセスの知識体系化 2019年度の調査結果を知識体系RAISBOKとしてまとめることを試みた。システム・ソフトウェア開発の一般に広く認められた知識を記載した知識体系(BOK)として、要求工学知識体系(REBOK)、ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系(SWEBOK)、ソフトウェア品質基礎知識体系ガイド(SQuBOK)、データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)を対象として、災害時に生じる不確定要素をカバーする知識の有無を検討し、ほとんどの不確定要素において対処可能となるような知識や技法等が存在せず、システム・ソフトウェア開発の常識では対応できない問題であることが確認された。この結果を踏まえ、さらに上位であるビジネスアナリシス基礎知識体系ガイド(BABOK)に基づき,運用を構築過程と捉え,ソリューション評価と現状分析を災害の前後で反復して行うことで,不確定要素に対応可能となる開発プロセスを提案した。その結果として、上流工程としてのBABOKを拠り所としてREBOK、SWEBOK、SQuBOK、DMBOKを横断する知識体系としてRAISBOKを位置付けることとした。 (c)RAISBOKの適応実験(行政、社会福祉協議会、災害支援団体) 構想中のRAISBOKを、実際の災害対応のための情報システムの導入事例に適応することを試みる。災害支援団体ネットワークであるJVOADが推進していた中間支援組織支援システム開発プロジェクトを参与観察することで、災害対応システムの開発における課題の発生原因について分析を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a)災害対応を支援する情報システムの開発・導入プロセスの分析 新型コロナウィルス感染症のまん延により、ヒアリングは当初計画ほど行うことはできなかったが、パンデミックという危機に関しても、災害対応システムと同様の構造があることが確認できた。 (b)リスク対応型情報システム開発・導入プロセスの知識体系化 知識体系としてのRAISBOKが、既存の知識体系のようにプロセスでの細分化できるものではなく、ビジネスモデル開発というメタレベルからソフトウェア開発というミクロレベルまでの俯瞰した知識体系としてまとめることが適切であることに至れた点は有益であった。しかしながら、従来の知識体系とは異なる体系となるため、まとめ方については再考が必要となった。 (c)RAISBOKの適応実験(行政、社会福祉協議会、災害支援団体) 行政、社会福祉協議会、災害支援団体を対象とすることを構想していたが、新型コロナウィルス感染症のまん延により、打合せが十分にできない環境となり、災害支援団体ネットワークであるJVOADが推進していた中間支援組織支援システム開発プロジェクトに対象を絞ることとなった。このプロジェクトについても、対面での打合せは実施されておらず、これまでの参与観察からの分析が中心となった。2021年度に一部研究を繰り越し、JVOADから岡山NPOセンターに対象を移すことで本実験の実施を可能する環境の構築ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(a)災害対応を支援する情報システムの開発・導入プロセスの分析においては、2020年度の成果をもって完了とする。 (b)リスク対応型情報システム開発・導入プロセスの知識体系化においては、2020年度の成果として得られたビジネスモデル開発というメタレベルからソフトウェア開発というミクロレベルまでの俯瞰した知識体系としてまとめることを試みる。 (c)RAISBOKの適応実験(行政、社会福祉協議会、災害支援団体)については、中間支援組織支援システム開発プロジェクトに対象を絞って行うこととする。このプロジェクトは、当初JVOADが進めていたが、開発予算の問題から岡山NPOセンターが主体となり、JVOADも協力する形で開発を行うこととなった。岡山NPOセンターは、平成30年7月豪雨災害時に岡山県内の災害支援団体をまとめた中間支援組織であり、情報システム活用についても多くの知見を有しており、本適応実験の対象として適切であると判断している。 (d)エンピリカルソフトウェア工学の枠組みによるRAISBOKの有効性の検証に関しては、 (c)の中間支援組織支援システム開発プロジェクトにおいて、システム開発過程のデータ、運用に関するルールの作成プロセスに関する情報を、参与観察を行うことで収集する。これらを分析し、RAISBOKの有効性の評価を行う。
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