2020 Fiscal Year Annual Research Report
Angiogenic machinery via concerted biomechanical control by blood flow pericyte
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19H04446
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西山 功一 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (80398221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管新生 / メカノバイオロジー / 伸展刺激 / ペリサイト / オンチップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血流による血管内腔圧・壁伸展刺激が内皮細胞により感知・伝達され、血管新生が抑制されるメカニズムを明らかにし、さらに、ペリサイトがその内腔圧・壁伸展刺激を調節し血管新生を促進的に制御するメカニズムを明らかにすることで、『血流とペリサイトの協奏による血管新生メカノバイオロジー機構』という全く新しい血管新生メカニズムの概念を提唱することを目的とした。 昨年度までのオンチップモデル解析から、内皮細胞が血管内腔圧上昇に伴う細胞膜の伸展刺激を受けると血管伸長が抑制されることを見出し、それは、内皮細胞の前後極性と方向性運動の障害に起因していることがわかった。本年度においては、さらに、内皮細胞膜が伸展を受けることで膜結合型BARタンパクFNBP1LおよびCIP4が膜から解離し、Arp2/3複合体の先導端局在とアクチン重合の失敗により内皮細胞の前後極性形成が失われ、方向性運動が障害されるというメカノバイオロジー機構が明らかとなった。また、両遺伝子のin vivoでの重要性を今後検討していくために、共同研究者と共に、FNBP1LおよびCIP4のコンベンショナルノックアウトマウスの立ち上げを行った。 一方、昨年度までのオンチップとマウス網膜血管新生の解析にて、ペリサイトは血管の伸長を促進し、血管径を小さく保つことがわかった。本年度においては、オンチップ血管新生におけるタイムラプス観察等から、ペリサイトは、血管径の過度な拡大を抑えて血管壁にかかる伸展張力を制御し、内皮細胞の方向性運動の効率性を保つことで、枝の伸長を促進する生体力学機構が示唆されてきた。さらに、ペリサイトの存在下では、血管壁周囲の細胞外基質の硬度が上がり、血管径の過度な拡大が抑えられているしくみが明らかとなった。細胞外基質硬度が上がるメカニズムに関しては、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究として計画していた血管内腔圧・壁伸展刺激を感知して内皮細胞の方向性運動が障害されるメカノバイオロジー機構、そして、ペリサイトが血管内腔圧・壁伸展刺激をうまく回避し、血管新生に促進的に作用するメカニズムに関して、明らかにすることができた点において、現在まで研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに予定していた研究は計画通りに順調に進んでいるため、今後も当初の研究計画に沿った内容で研究を推進する。
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Research Products
(4 results)