2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of atmospheric carbon dioxide concentration during the last 6 million years and the study of the interaction between atmospheric carbon dioxide and climate
Project/Area Number |
19H05595
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 正伸 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (60332475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
入野 智久 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
阿部 彩子 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30272537)
吉森 正和 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20466874)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | CO2 / 気候 |
Outline of Annual Research Achievements |
温室効果は地球表層の温度を決める重要な要素である。大気中CO2濃度の連続的な測定は1957年以降であり、それ以前のCO2濃度はアイスコア気泡中のガス測定により復元されている(Luthi et al., 2008など)。しかし、アイスコアの最古の氷は80万年前のものであり、それ以前のCO2濃度の精密復元は行われていない。 本研究では、ベンガル湾の国際深海掘削科学計画(IODP)U1445地点の堆積物コアに含まれる長鎖脂肪酸の安定炭素同位体比(δ13CFA)を測定し、600万年前から150万年前のCO2濃度を約1700年解像度で復元する。得られたデータにもとづき、鮮新世における気候感度を推定し、温暖期におけるCO2濃度と全球気温の関係を検討する。さらに、過去600万年間のCO2濃度と海洋深層水温度・気温・氷床量変動との関係から、CO2濃度変動の原因を考察し、CO2と気候の相互作用を解明する。 脂肪酸同位体比測定は現在3200試料中,2400試料の1回目の測定が終了した。過去80万年間のCO2濃度復元値は、アイスコアのCO2濃度およびU1446地点でのCO2濃度復元値と良い一致を示し、当研究で用いているCO2濃度復元手法をU1445地点に適用することが妥当であることが確かめられた。国際深海掘削科学計画(IODP)U1445地点での船上分析により得られた生層序と非破壊分析の結果に基づき仮の年代モデルを作成した。U1446地点で得られたCO2濃度変動記録と過去150万年間の降水量変動を比較し、δ13CFA変動の2-10%は降水量変動により、 78%がCO2濃度変動でより説明可能であることを示した。CO2濃度と降水量の変動がインド東部のC3/C4植生に与える影響を植生モデルを用いて検討した。このモデルの結果からも、δ13CFA変動は基本的にCO2変動を反映していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分取した試料について、抽出は現在3200試料中3000試料が終了した。脂肪酸の分離精製は2400試料が終了し、同位体比測定は2400試料の1回目の測定が終了した。現在、残りの試料の抽出、分離精製、同位体比測定(2回目分析を含む)を実施中である。過去80万年間のCO2濃度復元値は、アイスコアのCO2濃度およびU1446地点でのCO2濃度復元値と良い一致を示し、当研究で用いているCO2濃度復元手法をU1445地点に適用することが妥当であることが確かめられた。国際深海掘削科学計画(IODP)U1445地点での船上分析により得られた生層序と非破壊分析の結果に基づき仮の年代モデルを作成した。さらに、底生有孔虫の拾い集め、同位体比質量分析計を用いて酸素同位体比を分析した。現在まで2700試料のうち400試料の分析が終了した。U1446地点で得られたCO2濃度変動記録と堆積物中のGDGT、浮遊性有孔虫の酸素同位体比、脂肪酸の水素同位体比にもとづく過去150万年間の降水量変動を比較し、δ13CFA変動の2-10%は降水量変動により、 78%がCO2濃度変動でより説明可能であることを示した。δ13CFA変動は基本的にCO2変動を反映していることが明らかになった。CO2濃度と降水量の変動がインド東部のC3/C4植生に与える影響を植生モデルを用いて検討した。その結果、CO2濃度変動は降水量変動の7.5倍δ13CFA変動に影響を与えることが示された。このモデルの結果からも、δ13CFA変動は基本的にCO2変動を反映していることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度内に未測定のδ13CFA 800試料とすべての試料の2回目のδ13CFA分析を完了する。2022年度中には全2000試料の同位体比測定を完了する。年代モデルは2022年度内の完成を予定している。 本研究データにもとづき、気候モデルを用いた600万年間から150万年前の期間の氷床体積のシミュレーションを実施する。熱帯西部太平洋を中心に世界各地の水温古記録をコンパイルし、CO2変動との関係を統計的に解析する。 570万年前から550万年前の20万年間のCO2濃度変動と同時期の全球海面温度の変化を比較することによりCO2濃度が全球気温に及ぼした影響を評価する。前期鮮新世の550万年前から500万年前、後期鮮新世の350万年前から300万年前のCO2濃度と同時期の全球平均気温を比較することにより、温暖期におけるCO2濃度の全球気温に及ぼす影響を評価する。 U1445地点でのCO2濃度復元は、降水量の変動範囲がCO2濃度変動による影響よりも十分に小さい条件でのみ有効である。これを確認するため、U1445地点における過去600万年間の降水量復元を実施する。堆積物供給源の変化はδ13CFAに影響する可能性があるため、X線粉末解析による高時間解像度の鉱物組成の分析を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Reconstruction of atmospheric pCO2 during the Plio-Pleistocene2019
Author(s)
Seki, O., Irino, T., Horikawa, K., Okazaki, Y., & Abe-Ouchi, A, Jonaotaro Onodera,
Organizer
AGU Fall Meeting 2019, San Francisco USA
Int'l Joint Research
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[Presentation] Reconstruction of atmospheric CO2 concentration during the Plio-Pleistocene.2019
Author(s)
Seki, O., Irino, T., Horikawa, K., Okazaki, Y., Abe-Ouchi, A., & Onodera, J.,
Organizer
13th International Conference on Paleoceanography, Sydney Australia
Int'l Joint Research
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