2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study of origins and propagation of very high energy cosmic rays with detailed measurements in the wide energy range
Project/Area Number |
19H05607
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻尾 彰一 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (20242258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 成宏 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (40360581)
有働 慈治 神奈川大学, 工学部, 准教授 (50506714)
冨田 孝幸 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (70632975)
多米田 裕一郎 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (90467019)
|
Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
|
Keywords | 宇宙線 / 化学組成 / 宇宙線の起源 / 銀河系 / 銀河間空間 / 宇宙物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
10^18 eV以下の超高エネルギー宇宙線の精密観測から銀河系内起源宇宙線・銀河系外起源宇宙線の源・伝播機構の統一的解釈を目指すTA Low energy Extension(TALE)実験は、2018年11月から定常ハイブリッド観測を続けており、安定運用によるデータ蓄積とデータ解析を継続している。TALEハイブリッド実験は10^18 eV以下に感度を有する世界初・唯一のハイブリッド(地表検出器(SD)アレイ+大気蛍光望遠鏡(FD))検出器であり期待される高精度・高信頼度から、この実験が今後公開する成果はこのエネルギー領域の宇宙線研究にとって非常に重要である。 2021年度中は、TALE実験は中断なく順調に安定運用を続け、2017年11月のハイブリッド観測開始からの観測時間が2021年度末に約1,800時間に到達した。米国ユタ州での時間差測定は、現地に行くことができず、見送られた。しかし、ハイブリッド観測の実データの解析からフィッティングの最確値として求めることができ、200 nsと求まった。さらにその誤差がデータ解析結果に及ぼす系統誤差も見積もられ、宇宙線の1次エネルギーに対しては1%以下で無視でき、シャワー最大発達深さXmaxに対しては3.5 g/cm^2であることがわかった。 SD50台を追加する計画を進められている。2021年度はじめに設置点を確定し、現地の環境調査も完了し、設置準備は整っている。2021年10-11月に明野観測所大実験室にて、約1ヶ月間の作業期間で50台のSDを製作した。全SDの動作試験も完了している。 TALE実験のハイブリッド観測は2017年11月に開始されたが、これまでに得られたデータの解析から求められたpreliminaryな結果を、2021年7月のICRC2021、2022年3月の日本物理学会などで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも述べたように、TALE実験は、2018年11月から定常ハイブリッド観測を続けており、安定運用によるデータ蓄積とデータ解析を継続している。得られたデータの解析から求められた結果を、を国内外の研究集会で発表するなど成果をあげた。また、SD50台を追加する計画を進め、2021年度はじめに設置点を確定、現地の環境調査を完了、50台の追加用SDを製作した。 しかし、新型コロナウイルス感染が収束せず、さらに物流の混乱、輸送価格の高騰などから、2021年度内でSDの設置が完了せず稼働開始には至らなかったため、上記の達成度を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で建設するSD50台からなる高密度アレイは2023年3月に稼働開始する予定であり、 本申請研究課題の終了までに1年間データ取得できる見込みである。まずは、日本国内で可能な、データ解析プログラム群の整備・モンテカルロ計算に装置性能の評価など、ソフトウェア関連の準備を進めていく。 TALE実験SDアレイは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けずに定常運用を続けており、またデータ解析を進めており、2023年7月に開催される第38回宇宙線国際会議をはじめ、 国内外の研究集会で、エネルギースペクトル・化学組成・到来方向異方性(大規模異方性、周期解析、銀河面異方性、超銀河面異方性など)についての解析結果を公表する。 SDアレイによる観測データに対して機械学習によるデータ解析手法を適用した原子核種組成決定法に関する研究も進めていく。
|