2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and control of pathogenic osteoclasts
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19H05657
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 優 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10324758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛯名 耕介 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (70612076)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性破骨前駆細胞AtoM上に発現する表面マーカーの解析を行った結果、CX3CR1hiLy-6CintCD11b以外にも、CD11cやMHC-Class II・CD80/86といった抗原提示に関係する分子が高発現していることが分かった。また、AtoMを含む、炎症滑膜に存在する細胞群のシングルセルRNAseq解析の実施により、AtoMが関節滑膜に含まれるマクロファージのうちの特定のサブセットであることが分かり、マクロファージの中でもAcp5(TRAP)やカテプシンKなどの発現が漸増しており、すでに破骨細胞分化にコミットしつつある細胞集団であることが明らかになった。また、このAtoMの分化・形質変化の機構について検討した結果、分化にはM-CSFシグナルが関与することが示唆され、関節滑膜の微小環境(ニッチ)が産生するM-CSFの機能がAtoMの生成に重要であることが示唆された。一方で、AtoMを標的とした治療法については、AtoMの分化・機能に重要であることが示された転写因子FoxM1を標的とした治療の可能性について研究を行った。Streptomyces属の細菌によって産生される抗生物質でありFoxM1阻害活性を有するチオストレプトンがAtoMから炎症性破骨細胞の分化を抑制し、関節炎による骨破壊を抑制し得ることが明らかとなり、AtoM標的治療の基本的なPOCを得ることができた。また、分担研究者との共同で、AtoMがヒト関節炎破壊部位に存在するかについて解析を進めた。ヒトとマウスではマクロファージ上の表面マーカーが異なり、マウスAtoMを分離する際のマーカーLy-6Cはヒトには存在しない。このためsurrogateのマーカーを検索した結果、HLA-DRおよびCD86で分離できることを確認し、解析の結果、ヒト関節リウマチ患者の滑膜組織からAtoM様細胞の同定に成功し、これがFoxM1阻害効果のあるチオストレプトンで機能が抑制されることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性破骨前駆細胞AtoMの同定やその後の解析についても現在継続して進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
関節滑膜に存在するAtoM分化のニッチ細胞の同定のため、関節滑膜細胞のシングルセルRNAseq解析を行うことで細分化し、ニッチとなる滑膜・間葉系細胞を同定する。炎症また、同じく病的骨破壊である骨転移性骨破壊での破骨細胞を同定する。また、FoxM1の新規阻害化合物のスクリーニングを行い、得られた化合物を用いて阻害活性および治療効果を検証する。
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