2020 Fiscal Year Annual Research Report
Aggregate-biosphere: Unveiling hidden regulatory processes in the oceanic carbon cycle
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19H05667
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 博之 京都大学, 化学研究所, 教授 (70291432)
原田 尚美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), センター長 (70344281)
本多 牧生 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 上席研究員(シニア) (20359160)
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
三木 健 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00815508)
横川 太一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 研究員 (00402751)
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50260518)
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 生物炭素ポンプ / 微生物群集 / 海洋 / 物質循環 / ウィルス / 凝集体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的である、凝集体生命圏の構造・機能の包括的解明に向けて、観測、実験、モデリングを連結させた研究を、全参画機関の有機的な連携のもとに推進した。2020年度は新型コロナ感染症拡大の影響を受けて、観測、実験に一部遅滞は生じたものの、主要な観測プラットフォームであるマリンスノーキャッチャーの運用方法を確立し、本格的な観測を実施する段階にまで着実に駒を進めた。これらの観測により採取された試料は、2021年度以降、引き続き、分担者や協力者による分析に供される。また、培養実験による凝集体生命圏の動態解析に関しても、順調に研究が進展しており、すでに、凝集体生命圏の遷移パターンについての成果が得られつつある。特筆すべき研究成果は以下のとおりである。(1)ウィルスの海洋における広域分布パターンから、凝集体生命圏の構成員としてのウィルスの重要性を示唆した。この成果は、生物炭素ポンプの機能制御におけるウィルスの役割についての議論の中で、先駆的な位置を占めるものである。(2)時系列セジメントトラップで捕集したホルマリン固定サンプルから遺伝子をレスキューするプロトコールの最適化に成功し、成果を公表した。これにより時系列セジメントトラップのサンプルを用いた遺伝子解析の可能性が大きく開けたという点で大きな意義がある。今後、アーカイブ試料を用いた凝集体生命圏の過去復元といった、当初計画の想定以上の成果が得られる可能性が見えてきた。(3)データ解析により、海洋中層の水温が、炭素鉛直輸送効率に大きな影響を及ぼす可能性を示唆し論文を発表した。この成果は、水温変化に対する凝集体生命圏の応答を理解するうえで極めて重要であり、本研究課題の推進に大きく寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究で導入し、2019年度に手法検討を進めた、凝集体捕集装置(マリンスノーキャッチャ―)を用いた船舶観測を実施した。白鳳丸KH20-9航海(2020年9月10日-10月5日)における中緯度海域(黒潮海域)での観測と、新青丸KS21-4航海(2021年3月11日-3月21日)における北海道南方海域における観測を実施し、粒子解析、顕微鏡解析、遺伝子解析、有機物解析、代謝活性解析に供する試料を採取した。サンプルは、研究分担者と協力者に分与された。これらの試料の分析は2021年度も継続的に実施する。(2)海洋地球研究船みらい航海(MR20-E02航海2020年11月6日-19日、MR21-01航海2021年2月13日-3月24日)において、時系列セジメントトラップ係留系を用いた粒子沈降フラックス観測を実施した。同海域で得られたデータを使い、炭素の輸送効率に水温が影響を及ぼしている可能性を指摘した。またトラッププサンプルで収集したホルマリン固定サンプルを利用した凝集体生命圏の遺伝子解析手法の検討を進め、最適な遺伝子のレスキュー方法の確立に成功した。(3)バイオインフォマティクス解析により、凝集体生命圏の構造に関する新たな知見を得た。様々な真核微生物を宿主とするNCLDVと呼ばれる巨大ウィルスの分布解析を行った結果、生産性が高い海域でNCLDVの沈降が起こっている可能性を提示した。(4)現場海水を用いた培養実験を実施し、凝集体原核生物群集に特徴的な遷移パターンを解析するための試料を得た。(5)凝集体上の微視的スケールでの微生物の分布の定量化方法を顕微鏡観察に基づいて確立し、そのようにして得られるデータとの比較が可能な数理モデルの開発を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2021年度に実施する新青丸航海(KS-21-7)において観測を実施し、春のブルーム後期の凝集体生命圏の解析を行う。2020年度の新青丸航海のデータと合わせ、凝集体生命圏の季節的、空間的動態に関して成果をまとめる予定である。一方、外洋域への展開として、2021年度以降の「みらい」航海でも観測を実施する。以上から、凝集体生命圏の構造的な特徴、その普遍性、変動についてのデータが得られると期待される。2021年度後半からこれらの成果の公表と論文化を進める。(2)2020年度までに検討した方法論を適用することで、凝集体生命圏の機能の解析を進める。具体的にはサブテーマ1で得られたサンプルを用いて、遺伝子解析を行い、凝集体生命圏の代謝機能に関する情報を得る。また、放射性同位体トレーサー手法や、オプトードセンサーを用いた酸素消費量測定などの、活性測定を実施し、凝集体生命圏の代謝活性の測定を進める。(3)初年度と2020年度に続き、国際沿岸海洋研究センターの施設などを利用した培養実験を実施する。凝集体の培養条件を変化させて実験を行うことで、環境変化に対する凝集体生命圏の応答を調べる。(4)全体会議は年に1回のペースで実施するが、それ以外に、研究調整のためのオンライン会議は随時実施し、異分野連携を促進する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Eukaryotic virus composition can predict the efficiency of carbon export in the global ocean2021
Author(s)
Kaneko H., Blanc-Mathieu R., Endo H., Chaffron S., Delmont T.O., Gaia M., Henry N., Hernndez-Velzquez R., Nguyen C.H., Mamitsuka H., Forterre P., Jaillon O., de Vargas C., Sullivan M.B., Suttle C.A., Guidi L., Ogata H.
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Journal Title
iScience
Volume: 24
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A DNA metabarcoding approach for recovering plankton communities from archived samples fixed in formalin.2021
Author(s)
Shiozaki, T., Itoh, F., Hirose, Y., Onodera, J., Kuwata, A., Harada, N.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Biogeography of marine giant viruses reveals their interplay with eukaryotes and ecological functions2020
Author(s)
Endo H., Blanc-Mathieu R., Li Y., Salazar G, Henry N., Labadie K., de Vargas C., Sullivan M.B., Bowler C., Wincker P., Karp-Boss L., Sunagawa S., Ogata H.
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Journal Title
Nature Ecology and Evolution
Volume: 4
Pages: 1639-1649
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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