2019 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の病態における活性化受容体の機能解明と治療応用の検討
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19J20754
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新谷 優歩 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / ヘルパーT細胞 / 制御性T細胞 / 免疫受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は腸管に慢性的な炎症が生じる疾患である。炎症性腸疾患の患者数は先進国で急増しているが、現在の治療法では病態を制御できない症例が存在していることから、炎症性腸疾患の病態解明及び新規治療開発は社会的に求められている。 本研究では、炎症性腸疾患の新規治療標的として免疫細胞上に発現する活性化受容体DNAM-1に着目し、炎症性腸疾患の病態モデルであるDSS誘導性腸炎モデルを用いてDNAM-1が腸炎病態の増悪に寄与する分子メカニズムの解明、及びDNAM-1を標的とした治療応用の検討を目的として研究を行う。 DNAM-1は炎症性腸疾患の病態に関わる免疫細胞のうち、ヘルパーT細胞や制御性T細胞(Treg)に発現している。DNAM-1が腸炎病態を悪化させるメカニズムを解明するために、T細胞やTreg特異的にDNAM-1を欠損するマウス及びCD4+T細胞除去抗体などのツールが必要であり、今年度はこれらのマウスや抗体などのツールの作製を行なった。今後はこのツールを用いて、腸炎病態におけるDNAM-1の増悪に寄与する分子メカニズムの解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに病態解析に用いる遺伝子改変マウスおよび細胞除去抗体を作製した。Treg特異的DNAM-1欠損マウスを作製するため、Foxp3-iCreマウスとDNAM-1flox/floxマウスを交配し、Treg特異的DNAM-1欠損マウスを作製した。さらに、フローサイトメトリーを用いて、Treg特異的にDNAM-1が欠損していることを確認した。また、T細胞特異的DNAM-1欠損マウスを作製するため、LCK-Creマウスを新しく導入し、DNAM-1flox/floxマウスを交配し、LCK-iCre/DNAM-1flox/floxマウスを作製した。また、CD4+T細胞除去抗体を作製するため、マウスCD4+T細胞除去抗体を産生するハイブリドーマ(クローンGK1.5)を培養後、ヌードマウスに移植し、目的抗体を含む腹水を作製した。さらに、プロテインGカラムを用いて腹水から目的抗体を精製した。精製した抗体のクオリティーはフローサイトメトリー及びSDS-PAGEを用いて確認した。また、作製したCD4+T細胞除去抗体をマウスに投与し、生体内でCD4+T細胞を除去に必要な抗体量を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作製した遺伝子改変マウスや細胞除去抗体を用いて、病態解析を行う。 また、腸粘膜に浸潤する免疫細胞の解析 大腸粘膜固有層から細胞を単離し、フローサイトメトリーを用いて、大腸粘膜に浸潤する免疫細胞の数・割合、活性化マーカーの発現及びサイトカイン産生を比較する。
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