2022 Fiscal Year Annual Research Report
宗教的ニューカマーが構築する協調的あるいは対立的社会関係の実証的研究
Project/Area Number |
19K00095
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
三木 英 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60199974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尻 正之 追手門学院大学, 地域創造学部, 教授 (10300302) [Withdrawn]
岡尾 将秀 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (90773672)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム / ベトナム仏教 / スリランカ仏教 / ブラジル福音主義キリスト教 / 日本人との接点 / ナショナリティへの固執 / 墓地問題 / 社会的交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀末頃から日本国内に進出してきたニューカマー宗教であるイスラーム・ベトナム仏教・スリランカ仏教・ブラジル系福音主義キリスト教を対象にフィールドワークを実施してきたのが、2019年度から始まった本研究である。 2022年度は研究の(一年の期間延長を承認された上での)最終年度であり、また新型コロナウィルスのもたらした混乱を社会が脱しつつあったことから、過去三年間の研究の(不本意な)停滞を挽回すべく、精力的な調査研究に従事することになった。 イスラームでは、大阪府と兵庫・滋賀・群馬・栃木県のマスジドを訪問してムスリムへの聴き取り調査を行い、また在日ムスリムにとっての懸案事項である墓地問題(土葬墓地の確保問題)について多方面からデータ収集することに努めた。ベトナム仏教では寺院が立地する地域社会の日本人有力者(自治会長や市会議員)にインタビューし、スリランカ仏教では、静岡県にスリランカ人僧侶を中心として設立された瞑想センターでの行事を参与観察をし、ブラジル系福音主義キリスト教では週末開催の礼拝集会への参加を重ねて観察と聴き取りを行ってきた。 以上のような調査から、既述の四つのニューカマー宗教の施設(マスジドや寺院そして教会他)において芽吹きつつある小さな変化を見出したことを、本研究の小さからぬ成果として挙げるものである。在日ムスリムたちの間で「自己主張する小集団」が現れつつあること、在日ベトナム人が自らに設立した仏教寺院に没入することなく適度な距離を保っていること、スリランカ仏教寺院に集まるスリランカ人信者と日本信者とが(当初予想ほどには)融合せず各々の適所を占めるようになっていること、在日ブラジル人のなかに福音主義教会を舞台としてブラジルらしさを追い求める一群の現れていることが、それである。 そして上記の諸変化に対し、集団論・組織論的分析を試みたのである。
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