2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00140
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
由井 恭子 大正大学, 総合学修支援機構DAC, 専任講師 (90734509)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中世楽書 / 體源鈔 / 十種供養 / 管絃講 / 仏教説話 / 芸能説話 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、『體源鈔』書名索引の作成、『體源鈔』に記載されている寺院における芸能の調査を中心に行った。その成果の一部を、『大正大学研究紀要』第107号、『鴨台国文学』創刊号に報告した。 ①2019年度、2020年度に『體源鈔』の語句についてデータを収集した。2021年度は、そのデータを整理し、『體源鈔』書名索引を作成した。具体的書名をあげることにより、『體源鈔』のなかに含まれる情報についてさらに詳細に考察することが可能となった。『體源鈔』は、すでに成立していた楽書『教訓抄』『続教訓鈔』を参照して編纂されている。どの部分が『教訓抄』『続教訓鈔』からの引用か、どの部分がその他の書籍からの引用箇所か、引き続き調査していく予定である。①の『體源鈔』書名索引について、由井恭子、北林茉莉代、平間尚子、上條駿、大駒晴江の共著で『大正大学研究紀要』第107号に報告した。②中世に非常に多く催された十種供養と、十種供養で演奏される音楽について考察した。特に、後白河院が執り行った文治四(1188)年の十種供養において演奏された音楽に着目した。ここでは、琵琶西流藤原孝道の助言により、十種供養の音楽が盤渉調に統一された可能性について指摘した。十種供養は『法華経』を書写し、供養するのが目的であり、当然未来仏である弥勒菩薩への供養も考えられる。その弥勒菩薩の音楽として中世の人々に認識されていた「万秋楽」が盤渉調であることから、十種供養の音楽が盤渉調に統一されたのではないかと考察した。②について、『鴨台国文学』創刊号に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、感染症対策や大学業務の増加により、調査活動が制限されたため、予定より研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、『體源鈔』に残されている寺院における芸能についての調査を引き続き進めていく予定である。常楽会、管絃講などについて、寺院資料、歴史資料を含め、さらに調査し分析していきたいと考えている。また、『體源鈔』に残されている書名を手がかりに、『教訓抄』『続教訓鈔』のほかにどのような書籍を参照しているか、引き続き検討していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大により、資料調査に出向くことができなかった。2022年度は感染状況を確認しながら、調査に出向く予定である。
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