2020 Fiscal Year Research-status Report
リチャード・ハミルトン研究:ニューカッスル時代を中心に
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19K00198
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
吉村 典子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20347917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リチャード・ハミルトン / ニューカッスル |
Outline of Annual Research Achievements |
パンデミックによる渡航制限により2020年度の海外調査を断念したが、過年度まで実施した調査および収集した資料をもとに、国内外の学会における口頭発表(オンライン)および論文作成・投稿に努めた。結果、年間口頭発表2回・論文発表3点を実行した(詳細は「研究成果」に記載する)。 また、パンデミック中は国内調査を重点的に行い、過年度に確認した日本人アーティスト・塩見允枝子(大阪在住)とハミルトンとの接点についての考察を本年度に行うことにした。この研究は、当初の計画にはなかったが、本研究課題の「ニューカッスル時代」に塩見に届けられた書簡等の資料が確認されたことからも、本研究の主要資料として扱うこととし、調査を本格的に進めた。これは、塩見の《空間的な詩》(1965-1975年)を通しての制作上の交流であるため、まずは、塩見のこの作品の成立までの経緯、前後の活動を調査し、それとのハミルトンの関係を含む全概略をまとめ、所属大学研究紀要に掲載した。これにより、塩見の《空間的な詩》におけるハミルトンの役割とともに、本研究課題とする「ニューカッスル時代」に、ハミルトンが問題としていることが明らかになった。これは、ハミルトンの制作活動全般を読み解く資料となりうるものと位置付けられ、ハミルトンの同時代および前後の美術作品と照らし合わせることに本年度末に専念した。結果、ハミルトンの美術作品との重要な関係性が見出された。その成果は、2021年5月に開催される美術史学会全国大会で口頭にてまずは発表することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
パンデミックによる渡航制限により、2020年2月以降すべての海外調査が未実施となっている。しかし、国内資料に目を向けた結果、当初計画にはなかったが、研究課題に関連することを見出すことができ(詳細は「研究実績の概要に記載)、その資料を用いた研究を推進することはできた。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航制限が解除されるまでは、2019年6月のニューカッスルでの調査で入手した資料の整理・分析・考察に努める。2020年度入手した国内の資料については、既に研究紀要論文および国内学会口頭発表で公開したことに加筆修正を行い、学術論文にまとめ関連学会学会誌に投稿する。 一方、パンデミック中は、Web会議システム等で、海外研究者との情報や意見交換が可能となった。それを通して情報収集に努め、渡航制限解除後、短期集中的に効率よく調査が進むよう計画し、9月以降の海外調査再開をめざす。尚、2021年10月からは、ハミルトンと共同制作を行ったジョン・マクヘイルのアーカイブを有する英国美術センター(Yale Center for British Art,USA)での調査、2022年1月からは「ハミルトンの美術教育」、「デュシャンの受容」についての一次資料を有する研究機関(Tate Archives, National Art Library, UK)での調査行う計画である。
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Causes of Carryover |
2020年度はパンデミックにより、予定していた海外(緊急事態宣言発令中の国内を含む)調査が実施できなかった。その分を次年度にまわし、2021年度国内調査は6月以降、海外は9月以降の実施をめざす。
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Research Products
(6 results)