2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00337
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
橋本 美香 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70462041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 眞琴 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (10158115)
冨士池 優美 玉川大学, 文学部, 准教授 (20510572)
鴻野 知暁 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (30751515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 西行物語 / 西行和歌 / 形態素解析 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、『西行物語』の諸本について、国文学だけではなく国語学の見地からも視座に入れた横断的な分析を、コーパスを用いて明らかにしようとするものである。『西行物語』は、中世以降、文芸などに大きな影響を与えた物語であり、絵巻も多く作られている。一方で、諸本が多く、系統によって本文の内容も異なるため、全体像を知ることが難しい。これらについて、章段の内容について諸本の系統の全体像はすでに明らかになっている。また、重複する場面、特有の場面を抽出するという研究は、すでに行われている。しかし、諸本の本文の特徴についての、全体像は明らかになっていない。そのため、『西行物語』のコーパスの構築を行い、『西行物語』の本文に関する情報を明らかにすることを目指している。 さらにコーパス研究の進んでいる国語学の分野からのアプローチも試み、『西行物語』の研究の進展を目指す。具体的には、各系統の諸本の異同や、それぞれの本文の特徴を明らかにすることを目的としている。 2019年度は、『西行物語』のコーパス構築を進めている「西行聖人物語」(略本系、島原図書館松平文庫蔵本)、群書類従本(広本系、書陵部蔵本)、「西行四季物語」(采女本系、子今治市河野美術館蔵本)、「西きようき」(中間本系、岩国徴古館蔵本)、「西行発心物語」(松平本系、島原図書館松平文庫蔵本)、について、国文学的な見地から、吉野の章段における西行和歌の選択意識が諸本によって異なっていることを明らかにした。また、国語学的な見地からは、これら五本の『西行物語』について、計量的に延べ語数、異なり語数、高頻度率、品詞構成率を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、『西行物語』の諸本について、1)本文ならびに和歌研究、2)諸本の再調査とデータ化、3)章段の見出し付け、4)コーパスの作成、5)現段階でのパラレルコーパスに関する医国際大会での発表を計画していた。 これについて、1)、4)、5)についておおむね予定通り実施ができている。一方、2)諸本のデータ化、3)章段の見出し付けが未完であるため、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
『西行物語』の諸本のパラレルコーパスの構築を行う。また、西行和歌のコーパスの構築を行う。これに加えて、西行和歌の章段の見出し付けを引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していたデータの整理に関わる人件費、打ち合わせのための出張旅費の使用額が減少し、次年度の使用額が生じた。これらについては、データ解析、データ構築のための人件費、昨年度、実施できなかった打ち合わせのための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)