2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00373
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上原 徳子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50452917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国古典小説 / 翻案作品 / 中文英訳作品 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、移動が自由にできなかったため、当初計画していた調査活動(台湾及びイギリスにおける文献調査および関東に所在する研究機関における文献調査)は行うことができなかった。本研究は、本来調査に基づいた考察と成果(論文)の発表という研究計画であったため、調査結果がなかったことから、自ずから成果物を計画通り出すことができなかった。 しかしながら、口頭発表を二つ行うことができた。 国際学会「第四届世界論壇」(世界漢学研究会主催[幹事校ヴィッテン大学(ドイツ)]・オンライン開催)において「外語版〈杜十娘〉小考」を口頭にて発表した。この学会は多くの中国人研究者、また欧米の研究者が参加しており、本研究がアメリカでの中国古典小説の翻訳を対象としていることから、海外在住の中国人研究者から意見をきけたことは大きな収穫となった。 さらに、所属機関内の研究会「中国語圏地域人文学研究会」(立命館大学中国語圏地域人文学研究会主催・オンライン開催)において、口頭発表「英語版「杜十娘」について―近代における中国古典小説受容として」を行った。当日は学内のみならず全国各地の中国近代文学の研究者が参加していたため、質疑応答によって非常に有意義な意見交換を行うことができた。 本年度は、計画通りの活動は難しかったが、本研究の次段階に向け、その出発点となった翻訳作品「杜十娘」そのものについて改めて考察を深めることができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で移動が自由にできず、台湾及び英国での調査を中止せざるを得なくなった。また、日本国内他機関の図書館での調査もできなかったため、オンライン上でのわずかな調査しかできなかった。調査が遅れていることにより、考察も進んでいない。 また多少ではあるが資料の収集を行ったが、平時に比べれば活動レベルは低い状態に止まった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで遂行できていない調査は以下の通りである。 ・台湾の林語堂故居、および台湾国家図書館、中央研究院での文献調査・イギリス:大英図書館分館、Newspaper Libraryでの調査・日本国内(主に関東に所在する)機関での文献調査 これらの調査が今後どの段階で可能になるかは現在のところ不明である。従って、令和3年度はインターネット上で可能な調査での研究遂行を目指す。調査の遅れにより、研究全体が後ろ倒しになっているが、早急に進めるのは以下の内容である。 ・19世紀末から20世紀初頭の古典小説の英訳の情況についての中国及び台湾の先行研究を整理・在外華人の活動記録、英語による初期の中国文学史の編纂情況の調査、及び主に林語堂の英訳古典小説の出版をめぐる資料と当時の新聞の書評の資料の調査 これらの調査結果から、本研究が目的とする、在外華人たちの活動から、彼らが如何に古典文化と接触し、それをどうとらえるべきだと考えていたかを考察すること、中国国内での知識人のいわば外から内の思考に基づいた活動と対比することにより、当時の中国知識人が考えた欧米(あるいは日本)にとっての「あるべき中国古典小説の姿」を明らかにすることを目標として、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
海外渡航をしての調査活動が全くできなかったこと、学会活動が全てオンラインになったことから、予定していた旅費を使えなかったことが原因である。 次年度の状況も予断を許さないが、可能になれば調査を実行したい。その時の情勢を見極めながらの研究を考えている。 その他、従来計画していた研究活動で、感染拡大に影響を受けない部分については、できるかぎり迅速に遂行していくこととする。
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