2022 Fiscal Year Research-status Report
検閲と自己懲罰:ロシア帝国とソ連における文学テクスト生産メカニズムの考察
Project/Area Number |
19K00497
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平松 潤奈 金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (60600814)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 検閲 / ソ連文学 / 社会主義リアリズム / ロシア文学 / ドストエフスキー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の2年目に考察を進め、3年目に口頭報告を行ったソ連・社会主義リアリズムの検閲メカニズムについて、本年度はロシア語論文を執筆投稿し、ソ連文学研究の専門家のアドバイスを受けて書き直しを行った。この論文では、社会主義リアリズムの著名な諸作品とその批評、検閲状況などを対象に、「生産的検閲」という観点から、社会主義リアリズムのテクストがどのように生み出されていったかを論じた。社会主義リアリズム文学や、そこで描き出されるスターリン主義的主体が、外的検閲(外部制度からの圧力)と内的検閲(作者の自己検閲)の絶えざる対話によりできあがっているという点を示し、このメカニズムが西欧の生産的検閲や近代的主体による法の内面化とは異なることを論じた。本論文は来年度に公刊される予定である。また、本年度刊行された『ロシア文学からの旅:交錯する人と言葉』において、社会主義リアリズムを代表する作家ショーロホフの項目を担当し、彼の代表作の検閲の問題にも触れた。 当初、研究期間の2年目において行う予定であった19世紀の検閲(主としてドストエフスキー)については、昨年度に口頭報告した原稿を改良するため、追加の資料調査を行った。また、在外研修にて、19世紀の検閲やドストエフスキーを専門とする第一人者のアドバイスを受け、19世紀半ばの検閲緩和と同時期に、政治情勢の変化による検閲強化があったことなどを踏まえて、より慎重な議論を必要とすることを確認した。これらの追加調査を取り入れながら、今後、論文執筆を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアによるウクライナ侵攻により、ロシアでの資料収集は、昨年度に引き続きできなかった。かわりに在外研修先のアメリカで一定の資料収集をおこなった。またウクライナ侵攻の問題を論じるため、そちらに時間を割く必要があり、本研究の進捗にはやや遅れがあった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を一年間延長し、本年度の遅れをとりもどしたい。また、ロシアへの渡航は来年度も難しそうなので、資料収集については、日本国内、そしてロシア以外の国外地域で行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
ロシアによるウクライナ侵攻により、ロシアでの資料収集が、昨年度に引き続きできなかった。またウクライナ侵攻の問題を論じるため、そちらに時間を割く必要があり、本研究の進捗にやや遅れがあった。 次年度の使用計画については、研究期間を一年間延長し、本年度の遅れをとりもどすこととする。また、ロシアへの渡航は来年度も難しそうなので、資料収集については、日本国内、そしてロシア以外の国外地域で行うことを計画している。
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Research Products
(1 results)