2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00576
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
児玉 望 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (60225456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 位置アクセント / 昇り核化 / 波理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
第35回日本音声学会全国大会において、口頭発表「隠岐三型アクセントはどのように成立したか―昇り核化仮説補説―」を行なった。この口頭発表の内容をさらに改善して、論文「隠岐三型アクセントはどのように成立したか―「アクセント核はどう変わるか」補説―」を紀要論文として発表した。 日本語の位置アクセント諸体系に起こり得た変化として、下げ核祖体系からの「昇り核化」と「降り核化」の2方向が可能であった、とする前年度までの仮説を踏まえ、越前の3型諸体系と隠岐の3型諸体系が、それぞれこれらの二つの異なる経路を経ているが、昇り核化/降り核化の過程で共に、語頭核の非核化、下降タイプの無核型への3拍語末核型の合流という共通の変化を経ているためによく似た特徴をもつ、という仮説を展開した。さらに、発表論文では、位置アクセント祖体系の無核低結式(1-2類、2-2類、3-2類)が本来語末に境界特徴として「くぼみ音調」]L[を実現する型であり、この語末Lが取り得た変化として、tone leveling(H)、上げ核化(L*[)、「高起助詞の順接化」(]L)の3種のみが可能であり、中国地方の諸体系は、隠岐アクセントを含め、地域共通の昇り核化と、「くぼみ音調」の変化パターンの組み合わせで説明できることを論じた。 位置アクセント祖体系からの変化を、無核型の下降/非下降、昇り核化/下げ核化、くぼみ音調解消の三択という、少ない可能性の組み合わせとして論じることで、位置アクセントの「外輪/中輪/内輪」といった諸類型の地理的に不連続な分布を、系統分岐ではなく地理的に伝播した変化の組み合わせとして説明することに成功したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本州・四国の位置アクセント体系の系統分岐を説明する仮説がほぼ完成した。また、その過程において、位置アクセント以前の特徴を残していると可能性があるとした用言活用形アクセントの系列性についても、これがどのような変化の結果、諸方言での現在の体系に分岐したかをほぼ説明できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
九州地方の二型アクセント体系は、位置アクセント体系からの無核化としても、位置アクセント体系化を経ていない琉球諸体系からの型統合としても説明できる。 型の統合の共通性から従来「九州西南部二型アクセント」として単一の体系だと見なされてきた諸体系が、実は上記の二つの異なる変化の結果として生じてきた、という可能性をさらに検証していく。
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Causes of Carryover |
COVID感染症による出張制限のため、実地調査を行うことができず、また、研究発表や研究会参加も基本的に遠隔参加が可能であった。 次年度(および、場合によっては次々年度)に、海外での研究発表を含む支出を計画している。
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Research Products
(2 results)