2023 Fiscal Year Annual Research Report
音声の産出と知覚においてレキシコンの構造と特性がもたらす効果についての研究
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19K00585
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
北原 真冬 上智大学, 外国語学部, 教授 (00343301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 聖子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60365856)
田嶋 圭一 法政大学, 文学部, 教授 (70366821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強勢 / ピッチ / 母音長 / フォルマント / 母音無声化 |
Outline of Annual Research Achievements |
延長を重ねた本研究であったが,最終年度が音声学分野における最大規模の国際学会ICPhSの開催と重なることとなり,これまでの成果を多彩な各国の研究者の前で発表することができた.また,国内でも音声学分野において最も伝統のある日本音声学会大会において発表の機会を持つことができた.さらにアメリカとオーストラリアの音響学会が共催したAcoustics in Sydney2023においても発表を行い,特に英語圏の研究者から活発なフィードバックを得ることができた.研究内容については各学会ごとにデータの更新や分析方法の改善を行ってきたが,ここまでの主な結論は以下の通りである: [1]英語母語話者の英語における強勢の実現は通説と異なりピッチの利用はほとんど目立たないのに対し,日本語母語話者のそれは非常に日本語のアクセントに近いピッチパターンを第一強勢音節に載せている.[2]F1(概ね口の開きに対応する音響指標)の利用について,通説では日本語母語話者には困難であるとされてきたが,少なくとも第一強勢の母音についてはよく実現できている.[3]母音の持続時間長も[2]と同様である.[4]日本語母語話者は,無強勢音節において英語話者には見られないような母音無声化を頻繁に示す.[5]英語のレベル(TOEICにおいて800点台と500点台)における相違に関わらず,第二強勢と無強勢音節の区別は日本語母語話者には極めて難しい.以上の傾向は先行研究ではあまり指摘されていない事項を多く含み,今後さらに精査が必要である.
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Remarks |
研究成果概要に記した国際学会ICPhSにおいて,英語におけるピッチの実現についての我々の研究成果と関連して,中国語母語話者,韓国語母語話者,フランス語母語話者らの英語の強勢とピッチの知覚について新たな国際的研究プロジェクトを立ち上げることとなった.
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Research Products
(7 results)