2019 Fiscal Year Research-status Report
On Non-manual Expressions in Japanese Sign Language
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19K00590
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
今里 典子 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90259903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本手話(JSL) / 非手指表現(NME) / 口型 / 文法化 / ジェスチャー / 副詞表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、部位毎のNMEリストアップを計画していたので、日本手話(JSL)のネイティブ・サイナーの協力を得て撮影した過去のデータから、非手指表現(NME)を抜き出し整理した。NMEの体の部位としては、大きく分けて、頭、顔、体の3つの部位に大別し、顔はさらに、目、眉、口の部位に下位区分する。目については目の形状と視線に分ける。口の形はすでに知られているようにmouthingとmouth gestureに区分が必要であり、mouth gestureをリスト化する。 過去のデータから、以上の部位毎に、NMEを抜き出して意味機能を確定し、現時点までの整理によって、体の部位毎に次のように下位区分している。頭と体は、向き(左・右側・正面)・傾き[傾げ](横・前・後・斜め上)・動き(振り・揺り・止め・出し・引き+1回/反復)に分類する。顎(の動き)は頭部(の動き)に含めるべきであると考えている。目については、目の形状として(片目/両目、開けかたの度合い、開けかたの速度、+1回/繰り返し)、視線は方向、遠/近、動きに、眉は、動き(上・下・中)、また口については、口型のバラエティーに細分化できる。また頬(両方/片方、凸・凹)も口型の一部とする。この分類にしたがって、JSLのNMEをまとめる途中の状態である。 なお、これらのNMEは単独で現れるだけではなく、幾つもが重層的に重なって表現されることはよく知られた事実であるが、その組み合わせ方によって新しい機能や意味が現れる可能性についても注視が必要があることは言うまでもないが、その部分に関してはまだ分析が十分でない部分がある。またジェスチャーと語(形態)の区別が曖昧な例の分析が残っている。初年度の計画通りに進められていない部分に関して、今後ネイティブ・サイナーとのセッションの方法などを再検討して計画の遂行を工夫する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の研究計画では、本来ネイティブ・サイナーである研究協力者に依頼して、データチェックや、関係する表現の撮影およびその分析を進める予定を組んでいた。集中的に作業を予定していた夏季は家事都合により、冬季以降の時期は、コロナ対策が必要となり、早い段階で、研究協力者の安全確保を最優先し作業を中止したことにより、データ分析などが十分とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初はネイティブ・サイナーと対面して研究協力を得て、その現場で必要なデータ撮影や分析のためのインタビューなどの作業を進める計画であったが、このような直接対面方法は、コロナ対策を必要とする状況において、研究協力者の安全確保の観点から、見直しが必要となると考えている。手話データの、特に本研究の主題である「口型」データの撮影時にマスクは使用できず、フェイスシールドを着用すれば、光の写り込みや反射によって十分な撮影映像を得られないことは明らかである。またソーシャルディスタンスは時に適切な撮影を困難にする。 現在、2つの方策で計画の見直しを図っている。1つ目は、オンラインを利用したデータ撮影および分析が可能かどうかの検討であるが、研究協力者側のデバイスの問題、ネットワークの問題も含めて、調整が必要である。2つ目は、十分なソーシャルディスタンスを確保できる広く換気の十分な場所を準備して、マスクやシールド無しに撮影できるかどうかを検討しているが、こちらも、場所の確保以外に、研究協力者に、当初説明依頼していた以上の協力をおねがいする必要がある。いずれの方法においても、感染状況を睨みつつの対応を必要とする。 またどちらの方法をとるにしろ、当初の研究計画通りの速度で研究を進めることは簡単ではないので、今後は研究期間の延長なども視野にいれながら、最善の方法の模索を続けていくことになる。
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Causes of Carryover |
計画当初予定していた研究協力者とのセッションが、コロナ対策などでできなくなり、人件費・謝金はほとんど使用できていない。また出張もできていない。これらの予定変更により次年度使用額が生じている。
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