2023 Fiscal Year Research-status Report
明恵関係聞書類を主資料とする鎌倉時代の言語規範と言語変種に関する実証的研究
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19K00652
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
土井 光祐 駒澤大学, 文学部, 教授 (20260391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 聞書 / 明恵 / 鎌倉時代語 / 仮名交じり文 / 法談聞書類 / 文体 |
Outline of Annual Research Achievements |
鎌倉時代の高山寺における学僧の教学活動という共通の言語基盤を持つが、教学上の本来的目的は一様ではなく、言語徴証のバリエーションの背景には様々な要因が想定される。言語的特質の定位のためには、言語徴証のバリエーションと各文献を構成する素材の性格との関係を慎重に分析する必要がある。 本年度も、昨年度までに引き続き、この観点からの実証的な分析を推進するための必須の作業として、本年度は明恵関係聞書類の各文献の内部構成要素の情報を付加した用例データベースの整備、構築を進めた。 聞書資料が含むさまざまな言語事実、言語変種との関係は、聞書類と周辺資料との比較のみならず、聞書類内部の構成要素間とを適切な方法で比較し、客観的に相対化して位置付けることが必須となる。 聞書類の性格は多様であり、それに伴って資料毎の本文構成の相違は著しいが、各資料を相対化させると、ある程度の類型化が可能であることも見出している。それをどのように階層化させてデータベースに反映させるかという問題が課題となっていたが、本年度は、この点についても具体的な方針をより明瞭にすることができた。 このデータベース構築作業は長期間にわたっているため、原本本文の文字を電子化する際の方針にかなりの不統一を含んでいるが、本年度は、近年の学界の動向を踏まえつつ、最も汎用性の高い電子化の方法を再検討した。電子化とデータベース構築の様々な方法を試験的に作成し、メリット、デメリットについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
諸般の事情が重なり、関係資料原本の実地調査を実施することができなかった。また、入力作業、資料整理等の補助として学生アルバイトを雇用して依頼する予定であったが、不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施できなかった原本調査を行って、順次研究対象に加えることに尽力したい。 原本の電子化、データベース化の方法に関する近年の学界における進展は著しく、また、目的に応じて多様な方法が示されている。本研究において最も適切な汎用性の高い方法についても継続して検討を深めたい。
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Causes of Carryover |
諸般の事情が重なり、関係資料原本の実地調査を実施することができなかった。また、入力作業、資料整理等の補助として学生アルバイトを雇用して依頼する予定であったが、不可能であった。そのため、データベース構築作業に必要な物品の購入を優先させざるを得なかった。
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