2019 Fiscal Year Research-status Report
初期近代英語期のスピーチアクトのポライトネス的視点からの研究:モダリティを中心に
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19K00669
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
椎名 美智 法政大学, 文学部, 教授 (20153405)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史社会語用論 / (イン)ポライトネス / コーパスアプローチ / 初期近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコーパス・アプローチによる英語学の歴史社会語用論的ポライトネス研究である。現在では知ることのできない過去のスピーチ・アクトの様相をポライトネス理論、批判的談話分析、歴史社会語用論の立場から、量的・質的に分析し、その特徴を調査することを目的としている。また、多くの学会で発表やシンポジウムを行うことにより、まだ認知度の低い歴史社会語用論研究と他の研究領域とコラボレーションを働きかけることも目的の一つである。 2019年度は、5月に日本英文学会でのシンポジウム『英語史およびドイツ語史における「社会」と「ひと」:近年の歴史社会言語学・歴史語用論の展開』にて「歴史語用論・歴史社会言語学におけるアプローチと研究テーマの探し方」というタイトルで、イギリスの古い往復書簡を文体論と関連性理論の視点から読解する発表を行った。また6月には近代英語協会でシンポジウム『近代・英語・ポライトネスー近代社会で(イン)ポライトに生きることー』を主催し、「インポライトネス イン ポライトネス」というタイトルで、過去のいくつかのテキストを文体論とポライトネス理論を使って分析した。また2020年度9月にポーランドで開催されるPozna Linguistic Meetingにて'Spatio-temporal systems in an Early Modern courtroom: A case from the trial record of King Charles I'を、中安美奈子氏(静岡県立医科大学)との共同で発表するべく応募をした。出版したものとしては、「歴史社会語用論研究におけるコーパス利用の一例、どんなコーパスを作り、どのように使っているのか?」堀正広、赤野一郎(共編)『コーパスと英語研究』(英語コーパス研究シリーズ第1巻)、「歴史語用論」加藤重広・澤田淳(共編)(2020)『はじめての語用論、基礎から応用まで』(研究社)がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまではスピーチ・アクトを取り上げてポライトネス観点から分析を行ない、ほぼ計画通りに進んできたといえる。今のところ、分析できているコーパスは「社会語用論コーパス」だけだが、テキストの数も多く、たくさんのアノテーションがついているので、論文によって、なるべく多くのアノテーション情報を入れた分析をしようとしており、それは実施できている。 いくつかの言語関連学会で、シンポジウムや研究発表を行ったり、学術書への投稿を行うことができており、順調に研究は進んでいる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
6月に近代英語協会で『近代・英語・ポライトネスー近代社会で(イン)ポライトに生きることー』というシンポジウムを行い、「インポライトネス イン ポライトネス」という発表をしたことにより、「インポライトネス」という観点を入れると研究がより発展するのではないかと感じた。また、インポライトネスは必ずしもポライトネスの反対概念ではないということもわかったので、今年度は「インポライトネス」というキーワードを加えて、研究を進めていきたい。これまでと同じくコーパス・アプローチを使って、量的・質的に分析を進めていく予定である。また(イン)ポライトネス研究をしている言語学者たちとのコラボレーションも考えている。 ただ、国際学会、国内の学会の開催が危ぶまれている現状では、今後はシンポジウムや研究発表よりも、論文執筆などに注力した方が良いかもしれないと考えている。
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Causes of Carryover |
年度末に参加する予定であった学会や研究会、また自らが企画していた研究会が、コロナ禍のために中止になったため、出張がなくなり、旅費の出費がなくなったため、次年度使用額が生じた。
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