2021 Fiscal Year Research-status Report
初期近代英語期のスピーチアクトのポライトネス的視点からの研究:モダリティを中心に
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19K00669
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
椎名 美智 法政大学, 文学部, 教授 (20153405)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モダリティ / スピーチ・アクト / 呼びかけ語 / イン/ポライトネス / 初期近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コーパス・アプローチによる英語学の歴史社会語用論的ポライトネス研究で、現在では知ることのできない過去のスピーチ・アクトの様相を、ポライトネス理論、批判的談話分析、歴史社会語用論の立場から、量的・質的に分析し、その特徴を調査するのが研究の目的であった。具体的には、『社会語用論コーパス』内の歴史的裁判記録データにおけるスピーチ・アクトが、呼びかけ語、談話標識、名詞句・動詞句、文法構造、モダリティなどと、どのように影響しあって機能しているのかを、歴史社会語用論的視点と、ポライトネスという対人配慮の視点から分析することによって、過去のコミュニケーションの動的様相を捉えることを研究の目的としていた。今回は特にモダリティに注目し、研究成果は国内外の学会での研究発表と論文執筆によって発信することを目指した。コーパスを用いた呼称、呼びかけ語に関するインポライトネス研究(単著)と、スピーチアクトの行われている文における人称代名詞とモダリティの関係を論じた共著論文の執筆により、研究目的はかなり達成されたと考えている。今後の研究の展開としては、英語の歴史データの分析方法を日本語の分析に応用することを考えている。そのことにより、歴史社会語用論研究を多くの研究者に知ってもらえるようになるのではないかと考えている。 具体的には、これまで2018年度に3つの国際学会(国際英語学会: ISLE 5International Society of Linguistics of English、ヨーロッパ言語学会SLE 2: Societas Linguistica Europaea、国際英語史学会ICEHL: International Conference on English Historical Linguistics)で発表を行ったチャールズI世の裁判記録の分析を、論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの拡大により、海外の学会が延期されたり、日程が変更されることがあったため、研究の口頭発表ができなくなったりすることがあった。また、共同研究者や共同執筆者との打ち合わせが対面ではなかなかできないため、研究の進み方は予定よりも遅れてしまった。そこで、途中から方針を変えて、学会発表ではなく、論文執筆に重点をおく方針に軌道修正した。今後も、論文執筆を中心に研究を進めていくことにする。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を仕上げる段階に来ているので、これまでの研究をまとめて単著、共著による論文執筆、学会発表等により、研究成果を発信していく予定である。すでに、近代英語協会での学会発表はほぼ決まっているので、そこに注力して、研究をまとめていきたい。 現在、研究の射程を広げて、同じ研究方法を使って日本語を分析する研究も始めたので、これまで以上に歴史社会語用論という領域からの発信が可能になるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナの拡大のため、出席予定だった国内外の学会出張ができなくなり、旅費の出費がなかったため、使用額が余ってしまった。今後は徐々に国内外の学会も対面になりつつあるので、現地に赴いて学会発表を再開していきたい。
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