2020 Fiscal Year Research-status Report
音声情報の視覚化による日本語学習者のための会話教材の開発
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19K00722
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鹿島 央 南山大学, 人文学部, 特任研究員 (60204377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 慎吾 岐阜大学, グローカル推進機構, 教授 (20293582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発音の視覚情報 / AD図 / 読み上げの結果 / AD図による練習 / 自習教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、2019年度に作成した実施案に基づき国内での調査を行いながら、実験内容の再検討と結果の分析を行う予定であった。その上で、2020年度後半に海外の大学、具体的にはまずはカナダに実際に赴き、そこで調査を行う予定であった。しかしながらコロナウイルスの影響で、2020年の初めに本学の留学生が帰国する事態となり、最初の調査から中断せざるを得ない状況となった。 オンラインでの調査の可能性については、2020年度の半ばぐらいから考えていたため、それに対応できるように聴取課題の作成、日本語音声の説明用のパワーポイントの準備などを行ってきた。実際にオンラインでの収録が可能になったのは、2021年の初めからで、これまで3名の収録を行った。事前の準備として、調査協力者には調査概要の説明文書、調査の同意書、背景調査票、聴取課題回答票をファイルとして送付し、その後調査日時を調整し、ZOOMによるオンライン収録を各被験者にそれぞれ2回実施した。 収録語および文は、語レベル(3拍語16語、4拍語31語、5拍語42語)の89語と文レベルの40文である。1回目の収録は、聴取課題と文字の読み上げであるが、同じ母語であっても調査協力者によってアクセント生成傾向が異なっていたため、2回目での収録ではAD図を見ながらの練習項目をそれぞれに合わせたものとする必要があった。 本調査の目的は、発音を視覚情報として提供するAD図の効果を分析し、会話教材の作成に応用するというものである。これまでの結果については、調査者による聴覚的な印象に基づく観察のみで定量的な分析は正確になされていないが、一定の効果は認められている。ただ、定着という意味では約1時間程度の練習では足りないため、追加の練習項目を含む自習教材が必要である。この点については現在検討中であり、出来次第、調査協力者に送付し、併せて検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べた通り、日本語を母語としない調査協力者を必要とする本研究のような実験では、コロナウイルスの影響はかなり大きなものがあった。オンラインでの収録が早期に実施できなかった点は、技術的な問題と調査協力者の確保の問題が大きかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの終息については、恐らく今年度以降になるのではないかと思われるので、2021年度中は、オンラインでの収録を続けていく予定である。ただ、この科研費の課題は今年度が最終年度になるため、海外での実施はできないのではと思っている。 調査は、AD図の効果を測るものであるため2回目の収録が重要である。これまでも、日本語発音の特徴を説明した後で、各調査者に合わせた練習を行ってきたが、調査者を増やすことでさらに分かりやすい説明と汎用性のある練習方法を見つけたいと考えている。このことを踏まえた上で、会話教材の作成を手掛ける予定である。会話教材は、概念シラバスを用いた汎用性のある会話教材の作成を目指したいと思っている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナウイルスの影響で国内の学会への参加ができなかったことと、本来であれば年度末に海外で実施予定の収録ができなくなったことにより、旅費が使用できなかったことによる。
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