2019 Fiscal Year Research-status Report
日本語母語話者の韓国語運用を阻害する漢語動詞のヴォイスの類型化と理論化の試み
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19K00775
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
尹 亭仁 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (70409879)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 韓国語 / 母語話者 / 漢語動詞 / ヴォイス / 使役 / 受身 / 類型化 / 理論化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、(1)『中央日報』社説1年分(2016年)と『李箱文学賞作品集2006-2015』から収集した共通する2字漢語動詞918語に、韓国と日本の大学で使用されている韓国語テキスト・ハングル能力検定試験過去問題集(4級~2級、2016~2019の4年間)・日刊紙・小説などからピックアップした漢語動詞(約500語)を加え、頻度・品詞などを考慮した分類・分析から「重要漢語動詞1000」を確定する予定であった。しかし、VN-sikidaに関する論文の執筆の際に、この1000語に含まれないVN-hada形からの派生が多々見られたため、この1000語に頻度に大差が考えられない1000語を加え、2000語を決め、間口を広げた形で2020年度の語彙調査に臨むことにした。(2)「重要漢語動詞1000」を日本語の『国語辞典』のデータと照らし合わせ、「正の転移800」および「負の転移200」のリストを作成している。(3)日韓漢語動詞のヴォイスの基本資料となる「韓日・日韓漢語動詞7000」(対象は2字漢語動詞のみ)の語彙収集が完了し、対応する日本語訳を入力しながら、全体の分類(品詞、正の転移か負の転移かの日本語との対応関係など)を試みている。データは『デイリーコンサイス韓日辞典』(2009)の5300語から出発したものの、1700語の追加には予想以上に時間がかかった。2020年度の語彙調査の対象である『中央日報』の4年間(2016-2019)のデータは準備でき、2016年から調査を始めている。2020年度分は購読している『中央日報』の社説を毎月ダウンロードしながらデータを加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的には順調と言えるが、新型コロナウイルスのことで学生アルバイトの使用が厳しくなり、ダウンロードの作業、新聞の整理、日本語の入力、品詞分類などがやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、(1)「重要漢語動詞1000」に準拠しながら『中央日報』の社説5年分(2016-20)を対象に「使役形」と「受身形」の全数調査を行ない、それぞれのVNのタイプのリストと用法を整理する。(2)VN-sikidaの頻度調査とVNの特徴(動詞の自他・共起する格助詞・動作主標示など)を分析する。漢語動詞全体の5割を超える他動詞の3種類の受身形の分類には細心の注意を払う。『中央日報2016-20』の全数調査からVNの意味だけでなく「分布状況」やVNの持つ項構造の特徴も明らかになると予測している。(3)韓国語の漢語動詞のヴォイスに関する演繹的アプローチのための《1次資料》の完成を目指す。予想より、VN-sikida形の派生の用例が少ない場合は、2011-15年の資料にも当たってみる計画でデータを整備してある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大で学生アルバイトの依頼が厳しかったが、緊急事態宣言が解除されたら、アルバイトを依頼する予定である。
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