2020 Fiscal Year Research-status Report
日本人スペイン語学習者の韻律に見られる諸問題と音楽を利用した発音指導
Project/Area Number |
19K00865
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
泉水 浩隆 南山大学, 外国語学部, 教授 (30552765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 琢也 清泉女子大学, 文学部, 教授 (30245972)
高澤 美由紀 亜細亜大学, 法学部, 准教授 (10640683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スペイン語 / 音声 / 韻律 / 発音指導 / 日本人学習者 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人学習者のスペイン語の発音に見られる問題について、主に理論的側面と言語教育的側面の双方からアプローチすることを目指している。 理論的側面では、日本人スペイン語学習者の発話時の発音の特性・難点の分析、および、その言語教育面への応用を考えることを視野に入れているが、これについては、研究代表者は、2019年度に行った研究で用いたものと同じ、強勢語および無強勢語のピッチを変えた刺激を使って、2020年度はメキシコ人のスペイン語ネイティブスピーカーがその自然さや文の種類を判断する際、そうした加工がどのように影響するかを観察・分析した実験的研究に関する論文1編を発表した。また、強勢語で疑問詞の que (e の上にアクセント記号付き) と無強勢語で接続詞の que の前後の無強勢音節の韻律的動きについて分析した論文1編を公刊した。また、スペイン人のスペイン語ネイティブスピーカーとメキシコ人のスペイン語ネイティブスピーカーの反応を比較した研究を日本イスパニヤ学会の大会で発表した。 一方、研究代表者と研究分担者2名で、発音指導における音楽の使用とその効果について、同じく日本イスパニヤ学会の大会で、共同研究として発表した。 また、研究分担者のうち1名が準備した楽曲を用いて、2019年10月以降数回にわたって試験的に発音指導を行い、その授業を受けた被験者とそうでない被験者から発音のデータを採取し、比較した。その分析結果をまとめ、海外の学会発表に申し込んだところ、2020年4月に受理通知されたが、この研究については、コロナ禍のため、結局学会そのものの開催が1年延期となり、2021年6月にオンラインで発表する予定になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、文献研究を続けながら、2019年度のパイロット実験の結果に基づき、必要な修正を加えて、より大きなサンプルサイズの被験者に対して本実験を行う一方、パイロット実験の結果、あるいは、本実験の結果に関する中間報告的な内容を、スペイン・ジローナで予定されている国際実験音声学学会 (CIFE) 2020 などの学会で発表することを目指していた。しかしながら、コロナ禍のため、国際実験音声学学会 (CIFE) 2020は開催延期となり、また、対面式での実験も実施できなかったため、文献研究あるいはこれまで採集したデータ分析を進める段階に留まらざるを得なかった。 論文2編、発表2件は行ったものの、実験が予定通り進められない状況にあったため、全体の進捗としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題最終年度を迎える3年目の2021年度は、2020年度未実施となってしまった、より規模の大きいグループに対して実験を行い、扱う素材・分析等の幅を広げたい。また、そこから得られた成果に関し、論文あるいは学会発表を続けたい。 2021年度の研究遂行において、最も懸念すべき点は、2021年度同様、コロナ禍の状況がどのようになるか不透明である点である。もしこの状況が改善されなければ、学習者からのデータ採集、知覚実験等の対面式調査が難しいであろうことには変わりなく、また、海外で開催される学会への出席が事実上不可能であることが予想される。 実験については、どうしても実際に対面して行わざるを得ない音声採取については状況が改善されるまで後回しにすることにし、知覚実験については、これまで収集した材料を利用して刺激を準備してオンラインで実施するなど、別の方向性を検討している。学会発表については、海外で実施される学会1件にオンラインで参加することが決まっており、国内で実施される学会も、オンライン方式を利用しているものが増えているので、このような形を利用した参加を考えたい。研究者間のコミュニケーションは、既に昨年度もテレビ会議方式を用いた経験があるため、この方法を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた海外における学会発表ができなくなったため。2021年度に海外調査が可能になった場合は、その際の調査費として使用する予定。
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